A case of PBC with Sjögren's syndrome and pancreatitis

Abstract
44歳の女性に,原発性胆汁性肝硬変症(PBC), Sjogren症候群,膵炎の合併した1例を経験した.症例は昭和50年当科においてPBCおよびSjogren症候群と診断して経過観察していたところ,昭和54年2月より左上腹疝痛,背部放散痛とともに,血清・尿中アミラーゼの高値および血清リパーゼの上昇をみた.血清アミラーゼ・アイソザイムでは膵由来のアミラーゼが優位を示した.膵炎と診断し,食事制限とアプロチニン製剤を1日量10~20万単位を投与したが,症状および検査所見に改善を認めず,プレドニゾロン1日量30mg投与にて,改善を示した.しかし,プレドニゾロン減量中に再燃したので増量したところ,再び改善をみている.PBC,Sjogren症候群,膵炎の3疾患の同時合併例はきわめて稀であり,しかも,共通の病因学的基盤にもとづいて,肝臓,唾液腺,膵臓の各臓器の排泄管に障害をおよぼし,発症した可能性が推測された.