The Nagasaki metamorphic rocks and their geotectonics in Mogi area, Nagasaki Prefecture, Southwest Japan—Juxtaposition of the Suo belt with the Sanbagawa belt—

Abstract
長崎県茂木地域の長崎変成岩類は, 茂木スラスト (新称) を介して, ユニットIとIIに区分される. ユニットIはスラスト上盤に相当し, 千枚岩から無点紋片岩, 変斑れい岩および変花崗岩からなる. ユニットIIはその下盤にあたり, 点紋帯の片岩で構成されている. 前者はパンペリー石—アクチノ閃石相から緑色片岩相の緑泥石帯に, 後者は緑色片岩相の黒雲母帯に相当する. 泥質変成岩中の炭質物d002値はユニットIが3.550—3.414Å (broad) を, ユニットIIが3.3619—3.3569Å (sharp) を示し, 白雲母K-Ar年代は前者が214—162Maを, 後者が87—86 Maを示す. 以上のデータから, 茂木スラストは野母半島南西部地域の脇岬—深堀スラストの延長であり, ユニットIが内帯の周防帯に, ユニットIIが外帯の三波川帯にそれぞれ帰属すると結論される. また, 茂木スラストと脇岬—深堀スラストを一括して, 野母構造線と新称し, 古中央構造線に対比する.