Passage of a colon cast following replacement of the abdominal aorta due to aneurysm.

Abstract
腹部大動脈瘤手術後に特異なcolon cast排泄をみた虚血性大腸炎の1例を報告する.症例は, 67歳, 男性.腹部大動脈瘤手術後19日目に排便とともに索状物を排泄したことを主訴に当科を紹介となった.受診時よりS状結腸内視鏡にて経過観察を行った結果, 腹部大動脈瘤手術後に起こったS状結腸の虚血による腸管上皮の全周性の脱落と診断した.腹部大動脈瘤手術後には結腸に強い虚血性変化が生じやすい.この変化はその予後の悪さから問題とされており, 予防法や治療法に検討が加えられてきている.この症例のように, 虚血が原因となり, 結腸上皮が全周性に脱落する病態はこれまで欧米で2例報告されており, この排泄物をcolon castと表現している.今回の報告例はcolon castの排泄という特異な臨床経過をたどった症例で, われわれが調べた範囲では本邦例の報告はない.