The Great East Japan Earthquake and Asbestos Emission Prevention

Abstract
2011年3月11日に発生した東日本大震災では,津波による被害が大きく,多量の津波被害物を混合状態で撤去せざるを得なくなった。災害廃棄物分別・処理戦略マニュアルのとりまとめと,現地調査などを通じて,被災地におけるアスベスト対策の現状と課題を報告した。同マニュアルにおいては,災害廃棄物にアスベストが混入されないよう,できるだけ除去・分別を行い,アスベストの飛散・曝露防止の措置を図ることが重要であると強調した。限られた調査からは吹付けアスベストはさほど多く確認されていないが,破砕された成形板は多数見られ,アスベスト含有の判別は困難であった。偏光顕微鏡法による迅速分析は現場で極めて有用であり,少なくとも災害時に用いられる方法として位置づけることが望ましい。建築物の解体に関して,飛散防止措置の徹底が必要であるとともに,解体前調査としての迅速分析とマッピングの組合せは有力と考えられる。