Squamous Cell Carcinoma of Anus and Carcinoma in Association with Anal Fistula in Japan, Multi-institutional Registration

Abstract
第59回大腸癌研究会では,本邦における肛門部扁平上皮癌と痔瘻癌の,臨床病理,治療法,予後について,会員施設にアンケートを実施した.肛門部悪性腫瘍症例は総数で1,540例報告され,1,029例(66.8%)は腺癌,粘液癌で,扁平上皮癌は226例(14.7%)であった.肛門部扁平上皮癌患者の平均年齢は63.4歳で,男女比は1:2.25であった.組織型では中分化型扁平上皮癌が50.4%と最も多くみられ,低分化癌も24.4%にみられた.47.6%にリンパ節転移を認め,そけいリンパ節の転移率は25%であった.腫瘍マーカーは,stage II~IVの52%の症例でSCCの上昇を認めた.治療法では68.4%でAPRを含む治療が行われたが,放射線療法,化学療法が増加している.全肛門部扁平上皮癌の5年生存率は51.4%で,治療法による予後の有意差は認められなかった.痔瘻癌痔瘻罹患年数は18.8年で,粘液癌が60.8%でリンパ節転移は28.9%にみられた.治療は95.0%にAPRないしTPEが行われた.5年生存率は,stage 0,Iで90.1%,stage IIで66.7%,stager IIIで29.0%であった.