Bone Mineral Density in Postmenopausal Elderly Women with Type 2 Diabetes.

Abstract
60歳以上の閉経後女性インスリン非依存性型糖尿病 (NIDDM) 患者50例において腰椎骨密度を測定し, 糖尿病のコントロール状態, 初潮年齢, 閉経年齢, 生化学データ等を同時測定し, 対照群 (22例) と比較検討した. またNIDDM患者を骨密度によって高骨密度群と低骨密度群に分け, 両群の骨代謝マーカーを比較した. さらに, 糖尿病性細小血管症 (網膜症), 糖尿病治療法と骨密度の関係についても検討を行った. その結果, 二重エネルギーX線吸収法 (DXA) により測定したNIDDM患者の腰椎骨密度と対照群の骨密度の間には有意の差を認めなかった. さらに, NIDDMの低骨密度群では高骨密度群に比べて, 血中アルカリフォスファターゼ値では有意差を認めなかったものの, 尿中カルシウム/クレアチニン (UCa/UCr) は有意に高値であった (p<0.05). また, 糖尿病性網膜症を有する症例では網膜症を有さない症例に比し, 骨密度は低い傾向を示した (p=0.056). 食事療法単独, 経口血糖降下剤, インスリン使用の治療法三者間と骨密度との有意な関係は存在しなかった. 以上より, 高齢閉経後女性NIDDM患者における, 骨密度減少には尿中カルシウム排泄の亢進と糖尿病性細小血管症が何らかの役割を果たす可能性が示唆された.