Abstract
海洋は二酸化炭素の大きな貯蔵庫であり,その吸収能の監視は地球温暖化の将来予測に欠かせない。吸収した二酸化炭素により海洋が酸性化し,生態系に影響を及ぼすことも懸念されている。また近年,二酸化炭素回収貯留(CCS)など,海域を利用した事業が検討されており,海洋の炭酸系諸量のモニタリング需要が高まっている。とくにpHは今後測定が盛んになることが予想され,比色分析による高精度な定量法は国際標準化も行われているが,測定に必要な高純度色素試薬や標準物質の普及状況については課題がある。