Usefulness of the Vein Cuff Technique for Recurrent Stenosis due to Intimal Hyperplasia in Prosthetic Graft and Autologous Vein Graft Anastomosis

Abstract
下肢血行再建術において,人工血管と自家静脈との吻合が必要となることがある.しかし,この場合の吻合部は内膜肥厚による狭窄を来しやすいとされており,遠隔期のGraft failureの原因となる.今回,繰り返す人工血管-自家静脈吻合部狭窄に対して,vein cuff technique(St. Mary's boot)が有効だった症例を経験した.症例は75歳男性.右下肢重症虚血肢に対して大腿-大腿動脈(FF)人工血管バイパス術およびFFバイパスを流入血管とする右大腿-膝下膝窩動脈(FPBK)自家静脈バイパス術を施行した.術後11カ月目にFFバイパスとFPBK自家静脈バイパスの吻合部に高度狭窄病変が出現し,吻合部修復(自家静脈片によるLintonパッチ形成+中枢側再吻合)を施行した.2回目手術の10カ月後,同修復部位に高度狭窄病変が再度出現した.3回目手術は,狭窄部に対して自家静脈片でvein cuff(St. Mary's boot)を作製し,吻合を行った.3回目手術後,7年6カ月経過したが再狭窄なく経過している.Vein cuffは膝下膝窩動脈以遠への人工血管バイパスを余儀なくされた際に末梢側吻合部に対し内膜肥厚抑制効果を期待して付加される操作であるが,今回,人工血管を流入血管とするFPBK自家静脈バイパスの内膜肥厚による中枢側吻合狭窄解除に有効であった.外科的修復術の1つの手段となり得ると考えられた.