Screening for Detection of Pancreatic and Biliary Duct Lesions: A Single-Center Experience Over 10 Years in Japan

Abstract
糸魚川総合病院(以下,当院)健診センターでは2010年から通常の人間ドックの任意追加検査として胆嚢膵臓ドックを実施してきた。そこで本研究では,当院健診センターにおける10年間の胆嚢膵臓ドックの施行実績について調査を行ない,ドック実施の再評価を行なった。10年間において胆嚢膵臓ドックの受診者は79症例(64名)おり,年齢は64歳(42~81歳),男性が51例(65%)であった。血液検査が施設基準を上回った症例は抗核抗体(40倍以上)が15例(19%),抗ミトコンドリア抗体(20倍以上)は0例,およびIgG4(118mg/dL以上)は1例(1%)であった。磁気共鳴胆管膵管撮像法(MRCP)では悪性疾患を疑う所見および原発性胆汁性胆管炎や自己免疫性膵炎などを疑う形態異常は検出されなかった。1例に主膵管と交通する5mm以上の分枝の拡張を認め,分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍が疑われた。ドック受診者には選択バイアスが生じている可能性に留意して,早期の膵癌や胆管癌罹患の可能性が高い受診者をどのように拾い上げて感度が高い画像検査につなげていくかが重要な課題であると考えられる。膵臓および胆道系の自己免疫疾患に対する疾患特異的抗体によるスクリーニングの実施は見直しが必要と考えられた。