Abstract
目的.COVID-19感染蔓延が肺癌診療に及ぼす影響を明らかにし,日本において今後のCOVID-19感染拡大に備えた肺癌診療に役立てる.方法.COVID-19感染蔓延が肺癌診療に及ぼす影響についてこれまでの主な報告をレビューし,内外のガイドラインと日本肺癌学会によるExpert opinionなどの意義,特徴を論じた.結果.肺癌患者のCOVID-19罹患リスクは不明ながら,罹患した場合には一般人口に比べ,重症化リスク,死亡リスクが高い可能性があるが,いずれも外国における後方視的観察研究結果に基づくものであり,交絡因子による影響を否定できない.また,日本にも当てはまるかどうかの検証はされていない.肺癌治療によるCOVID-19の重症化・死亡リスクへの影響についても不明確である.結論.日本および地域におけるCOVID-19感染拡大を防ぐことが重要であることは論を待たないが,感染蔓延下では,患者および医療機関の要因による受診・診療抑制が生じる可能性があり,日本肺癌学会によるExpert opinionなどを参考に準備を行っておくことも重要である.

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