Pediatric Deep Neck Abscess: Treatment Strategy According to the Abscess Site

Abstract
小児深頸部膿瘍は成人例と異なり, 保存的治療で治癒に至る症例が多いため, 穿刺や切開排膿等の外科的治療の適応について判断に苦慮することがある. 小児ではリンパ節炎が成因であることが多く, 抗菌薬治療等の保存的治療が有効である一方で, 扁桃炎や唾液腺炎などリンパ節炎以外の原因で生じたと思われる症例では, 外科的治療が必要となる場合がある. 外科的治療の適応について, これまで感染部位や成因から検討した報告はない. 今回われわれは, 当科で治療した小児深頸部膿瘍の11例について検討した. 感染部位は, 咽頭後間隙4例, 扁桃周囲3例, 耳下腺間隙2例, 顎下間隙1例, 後頸間隙1例であった. 全体で保存的治療のみで治癒に至った症例は11例中7例であり, 4例に外科的治療を施行した. 感染部位に応じた検討をしたところ, 咽頭後間隙の症例は全例保存的治療で軽快したが, 扁桃周囲・耳下腺間隙・後頸間隙の症例では, 4例に穿刺排膿を施行し, 3例は軽快したが生後1カ月の女児の1例は排膿不十分で頸部外切開を要した. 咽頭後間隙膿瘍では保存的治療を第一選択とするが, 扁桃周囲および耳下腺間隙など部位によっては, 早い段階での穿刺排膿が有用であると考えられた.