Serial Changes in Score on the Japanese Version of the Trail Making Test (TMT-J) After Minor Ischemic Stroke

Abstract
Trail Making Test(TMT)は注意機能の評価スケールとして広く用いられている。TMTの完遂時間(TMTスコア)は脳疾患による注意障害により延長する。TMTスコアは軽症脳梗塞患者の一部においても高値を示す。これまで,本邦において標準化された検査用紙,検査方法は確立されていなかったが,2019年にTMT日本版(TMT-J)が発表された。本研究は,軽症脳梗塞の早期におけるTMT-Jスコアの異常および経時的変化を明らかにすることを目的とした。我々は,当院に入院した脳梗塞の患者のTMT-Jスコアを後方視的に調査し,TMT-Jの初回評価を脳梗塞発症8~14日後,再評価を発症29-35日後に実施できた患者について検討した。初回評価時,TMT-J Part Aは21例中1例が完遂不能であった。TMT-J Part Aの平均値は67秒で,45%の患者で異常高値を示した。TMT-J Part Bは20例中2例が完遂不能であった。TMT-J Part Bの平均値は135秒で,61%の患者で異常高値を示した。再評価時,Part Aは76%,Part Bは73%の患者で改善していた。本研究により,軽症脳梗塞発症8~14日後のTMT-Jスコアの異常は,多くの患者で経時的に改善することが示された。