Abstract
本論文では,軸力を受ける高力ボルト添接補修された断面欠損鋼部材の分担軸力を,主板と添接板の板幅が同じでボルトのすべりがない弾性範囲内の条件に対して,断面欠損を含む主板と添接板の高力ボルト間に対する変位の適合条件を与えて導出する.そして,導出した式によって,様々な断面欠損(上下対称)を高力ボルト添接補修した場合の有限要素解析結果を±5%程度の誤差で推定できることを明らかにした.さらに,断面欠損を模擬した試験体を製作し,弾性範囲内の断面欠損部と添接板の線形範囲内のひずみが,断面欠損部と添接板の断面積比から算出したひずみよりも,本研究で提案した推定式から算出されるひずみに近いことを明らかにした.また,断面欠損が深く,そして欠損が短い試験体では,断面欠損部が破断する結果が得られた.