Identification and Holding of the Great Saphenous Vein in the Inguinal Region Using a Stripper and Echography

Abstract
当院ではストリッピング手術の高位結紮の際に,末梢から挿入したストリッパーをエコーで視認しつつ鼠径の操作を行うことにより1.5 cm以内の手術創で大伏在静脈(GSV)の同定と把持を行っている.2012年12月から2020年4月までに施行したGSVのストリッピング手術231例を対象とし,本法を実施できた症例と術中合併症の有無を検討した.本法は222例(96.1%)で施行可能で動脈や深部静脈の損傷は起こさなかった.上行性血栓性静脈炎3例と,GSVの逆流範囲が狭く鼠径部創からGSV抜去が可能であった5例および瘢痕化により皮下組織の剝離が困難であった高位結紮術後再発の1例で本法が行われなかった.初期10例の皮膚切開開始からGSVを把持挙上してテーピングするまでの平均所要時間は80秒であった.ストリッパーを目印にエコー下にGSVを把持する本法は,深部の動静脈を損傷する危険を回避し安全に手術を行う一助になると考えられた.