The Japanese Journal of Educational Psychology

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ISSN / EISSN : 0021-5015 / 2186-3075
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Miwa Inuzuka, Asako Miura, Hirokazu Ogawa
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 35-47; https://doi.org/10.5926/jjep.70.35

Abstract:
本研究では,大学での授業において,試験時に参照するためにノートをまとめ直す(事後ノート作成)方略に関する認知とその変化を検討するとともに,作成された事後ノートの質的特徴と成績の関連を検討した。研究1(n=171)では,講義科目において,試験時に参照できる場合に事後ノート作成の有効性や工夫の認知が高く,コストが低く認知されることが示された。また,作成された事後ノートの記述量と図の使用頻度が事実問題の成績を予測した。研究2(n=114)では演習科目において中間テストと事後ノート作成を繰り返した。期末試験問題のうち,事実問題には事後ノートの記述量と体制化の指標の正の効果,まとめ文をそのまま写すことの負の効果が見られた。知識適用問題と説明問題では記述量の効果は有意ではなく,体制化とまとめ文の写しの有無が成績を予測した。方略としての認知は,工夫の認知に有意な変化が認められたが効果量は小さかった。研究3(n=45)では,演習科目において事後ノート作成の繰り返しに加え明示的教示を実施した。作成された事後ノートの体制化の指標が知識適用問題の成績を予測する結果が得られ,方略の認知に関しては,工夫の認知が有意な上昇を示した。
Yuko Honma, Takashi Nagao, Keitaro Aiga
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 100-111; https://doi.org/10.5926/jjep.70.100

Abstract:
本研究は少年院において役割取得能力の促進を目的とした道徳教育プログラムを実施し,効果検証を行うことを第一の目的とした。全プログラム(16回,計4ヶ月間)に参加可能で介入前,中期,介入終了後の計3回評価が可能だった9名のうち,5名に役割取得能力の1段階上の発達段階の促進(段階1から段階2へ)と院内適応行動評価尺度(日課への参加の積極性,規則遵守行動,向社会的行動)の得点の上昇が示された。役割取得能力の発達段階の促進が認められなかった4名は,いずれの下位尺度の得点も変化しないことが明らかとなった。第二の目的として,効果が示されなかった少年について,効果への個人内要因(年齢,IQ,学歴,入院理由と事件の重大度,入院までの非行回数,過去の経歴)やプログラム満足度との関連について検討を行った。検討の結果,効果が示された少年よりも示されなかった少年の方が,過去の非行回数が多いことが示された。その他,法務教官に聞き取り調査を行い,プログラム効果の有無にはグループ内の人間関係や少年の性格特性が影響することが示唆された。
Tomohiro Oikawa
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 48-66; https://doi.org/10.5926/jjep.70.48

Abstract:
幼児は1人から2人,そして複数人のグループへと仲間関係を形成していく。しかし,時に幼児はそのプロセスで課題を抱え,“ひとりぼっちの幼児”となったり,それ以上は仲間関係が広がりにくい“親密すぎる二者関係”を形成したりすることがある。本研究は,そうした課題を抱えた仲間関係の変容を促す保育者の援助の実践知を検討した。保育者30名に対して“ひとりぼっちの幼児”と“親密すぎる二者関係”及びその両方が登場する3つの架空の事例を提示し,援助プロセスを尋ねる半構造化面接を行った。語りはグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析された。結果,6つの援助プロセスを伴う計16のカテゴリーが導出された。次に,各カテゴリーと援助プロセスを共通性に注目し統合することで,保育者の実践知に関する仮説モデルを生成した。この仮説モデルから,保育者は課題に直面した際,5段階の援助プロセスにより幼児たちの遊びを育てることで,仲間関係の変容を促そうとしていることが考えられた。最後に,従来のSSTに関する諸研究および実践記録・研究の知見と比較しつつ,仲間関係の援助に関する保育者の専門性について論じ,課題と展望を述べた。
Nozomi Ichishita, Tetsuro Noda
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 87-99; https://doi.org/10.5926/jjep.70.87

Abstract:
本研究は,感謝の対象を人への感謝である対人的感謝によるものと,こと・ものへの感謝である非対人的感謝によるものに統制した上で,感謝の筆記と読み上げが,反すう,楽観性,悲観性,ストレス反応に及ぼす効果について検討したものである。小学5・6年生183名を対象とし,87名を対人的感謝群,96名を非対人的感謝群に割り付けた。研究協力者は,3週間にわたり,感謝対象と内容を記載し,読み上げる活動を行った。時期はpre,post,follow-upの3水準で変化を比較した。その結果,対人的感謝群においては,感謝と楽観性の有意な上昇が見られた。非対人的感謝群においては,感謝の有意な上昇とストレス反応の有意な低下が見られた。以上の結果を踏まえ,今後の課題について考察を行った。
Tatsuaki Kondo
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 1-18; https://doi.org/10.5926/jjep.70.1

Abstract:
The present study examined why preschool children do not respond "I don't know" (DK) to unanswerable questions. The participants in the study were twenty-four 3-year-olds (10 boys, 14 girls), thirty-one 4-year-olds (12 boys, 19 girls), and thirty-five 5-year-olds (18 boys, 17 girls). They were asked answerable and unanswerable questions, which were presented in either a closed-ended or an open-ended format. They were then asked why they knew or did not know the answer, after which the experimenter confirmed their answer by telling them whether it had been correct. The results indicated that the 5-year-olds made fewer "don't know" responses to the closed-ended unanswerable questions than the 3- and 4-year-olds did, whereas no age-related differences were observed for the "don't know" responses to the open-ended unanswerable questions. Moreover, when the 5-year-olds were asked to explain why they knew the answers to the closed-ended unanswerable questions, they answered that they had guessed. The 5-year-olds also tended to change their answers or guess in response to the confirming questions. However, no age-related-differences were found in these responses. The present findings suggest that 2 different cognitive processes, "unaware of the possibility of guessing" and "aware of the possibility of guessing," may explain why children do not answer that they do not know.
Miki Toyama, Masato Nagamine, Akira Asayama
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 19-34; https://doi.org/10.5926/jjep.70.19

Abstract:
本研究は,大学生を対象にし,努力に対する信念についてその構造を明らかにし,その個人差を測定することができる尺度を作成すること,ならびに努力についての信念が目標追求行動と関連しているのかどうかを検討することを目的とした。研究1ならびに研究2より,努力についての信念は,「重要・必要」,「コスト感」,「才能の低さの象徴」,「効率重視」,「環境依存性」,「義務・当然」そして「外的基準」に分類されることが示され,これら7つの下位尺度から成る努力についての信念尺度を作成した。研究2―研究4より,本研究で作成した「努力についての信念尺度」は,一定の信頼性(内的一貫性と時間的安定性)と妥当性(構造的な側面の証拠,外的な側面の証拠)を備え持っていることが確認された。また,研究4より,個人が持っている努力についての信念によって,目標達成が困難になった時の目標追求の仕方が異なることが示され,努力についての信念は行動を規定する要因であることが明らかとなった。今後は,本研究で作成された「努力についての信念尺度」を用いて,さまざまな行動(e.g., 学習行動)との関連について検討することが望まれる。
Natsumi Gunji
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 70, pp 67-86; https://doi.org/10.5926/jjep.70.67

Abstract:
本研究では,ジグソー法を用いた性教育指導観の理解を目指した授業の学習効果を検討することを目的とし,2018年,2019年の7月,首都圏A私立大学の2ヶ年分の受講者282名を対象に,授業の前後で質問紙調査を実施した。性教育指導観の変化を検討するため,(1)「性」に対するイメージ,(2)性教育をする理由,(3)性教育による児童生徒の具体的な変化についてKH Coderを用いて分析した。その結果,授業の前後で質問紙に記述された語(恥ずかしい,違い,知識,大人,性など)の共起関係が変わった,つまり同じ単語が異なる文脈の中で用いられるようになった。このことから,学生らに性や性教育に対する捉え方に変化が起こり,学習者から指導者へと認識の変化があったと推察された。また,ジグソー法で課題に取り組む協働の過程の中で,学生は主体的に他者と対話することで学習したと推測できた。つまり,文献の内容をグループのメンバーが個々に理解したというより,対話によってグループでの共同理解に努めたということになる。ジグソー法によって性に関しての学びを頭の中に主知的に構築するのではなく,他者との対話の中でパフォーマティブに意味を構築していたことが推測された。
Yoshiko Kinoshita
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 69, pp 396-409; https://doi.org/10.5926/jjep.69.396

Abstract:
本研究は個人の自由を制限するコミュニティの規則について,いつごろから個人の自由領域を意識して規則の正当性をみるようになるのか,みようとしたものである。参加者は全部で262人,日本,イギリスにおいて,それぞれ,8歳,11歳,13歳,および成人の4つの年齢群に対して調査を実施した。参加者はコミュニティの規則として,9つの規則を提示される。それらは,社会慣習の規則1場面と4タイプの個人領域にあると想定される規則である。参加者はそれぞれの規則について,コミュニティの規則として決めてもかまわないかを判断し,その理由を述べるよう求められる。さらに,もしその規則を破ったらどのくらい悪いと思うか,その規則は市の人々にとってどのくらい有益かを評定するよう求められる。結果は日英両国とも,8歳児は全般的に規則を正当と考える傾向があり,個人の自由の意識が低いことが示された。また,日本の参加者のほうが個人領域でも規則を認める傾向が強く,「益になる」ことが判断の基準となることが多かった。
Ai Mizokawa
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 69, pp 410-420; https://doi.org/10.5926/jjep.69.410

Abstract:
子育てや保育・教育の現場では,子どもにとっての失敗経験に対して,大人が肯定的な言葉かけを行うことがある。先行研究からは,他者の心に関する理解が未発達な子どもほど,失敗場面でのほめ言葉を肯定的に受け入れることが示されているものの,児童期以降の発達的変化に関しては未解明である。本研究では,児童を対象に質問紙調査を実施し(N=455,6―12歳),失敗したにもかかわらず教師からほめられた際の反応について,二次の誤信念理解とエンゲージメント(学習への取り組みの指標)との関連から検討した。その結果,失敗場面でのほめ言葉に対する反応は,年齢が高いほど,また感情的エンゲージメントが低いほどネガティブであることが示された。さらに,ほめ方と二次の誤信念理解と行動的エンゲージメントの二次の交互作用が認められ,失敗場面で「よくできたね」と結果についてほめられた際に,行動的エンゲージメント高群においては,二次の誤信念理解ができない児童ほど,怒り感情を経験しやすいことが示された。これらの結果から,ほめ方やほめる状況だけでなく,心の理解の発達や学習への取り組みの個人差を考慮して言葉かけを行う必要性が示唆された。
Tomohiro Sakai, Atsushi Aikawa
The Japanese Journal of Educational Psychology, Volume 69, pp 339-352; https://doi.org/10.5926/jjep.69.339

Abstract:
本研究の目的は,感謝表出スキルの実行を測定する尺度を開発することであった。研究1では,2つの質問紙調査から,感謝表出スキル尺度(Gratitude-expression Skills Scale: GSS)の項目を選定し,信頼性,内容的妥当性,基準関連妥当性を実証した。研究2では,縦断調査を行い,感謝表出スキル尺度の再検査信頼性と感謝表出スキル尺度の予測的妥当性を検討した。研究3では,感謝表出スキル尺度の基準関連妥当性を,ロールプレイ法を用いて実験的に実証した。以上の研究結果から,感謝表出スキル尺度に関する妥当性の証拠は実証的に収集され,感謝表出スキル尺度は,特性感謝を測定する既存の尺度とは異なる独自性を備える尺度であると言えるであろう。
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