Japanese Journal of Cardiovascular Surgery

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ISSN / EISSN : 0285-1474 / 1883-4108
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Hajime Sakurai
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-x; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.i

Abstract:
部分右心バイパス術であるGlenn手術と,完全右心バイパス術であるFontan手術は,ともに比較的太い血管を吻合するという単純な手術ではあるが,術後に体静脈圧の上昇という特殊な血行動態をもたらす術式であり,手術手技のちょっとした違いが術後の血行動態に大きな影響を与えうる術式でもある.本稿では,右心バイパス術が辿ってきた術式の変遷の経緯を振り返りつつ,現状での適応,治療方針,術式について基本的な理解を深めることを目的とし,とくに若手外科医が本術式を新たに行う際に心に留めておいてほしい手技的なポイントについても概説した.
Kenichi Arata, Itsumi Imagama, Yoshiya Shigehisa, Kosuke Mukaihara, Kenji Toyokawa, Tomoyuki Matsuba, Shinya Kuramoto, Shuji Nagatomi, Yutaka Imoto
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 342-347; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.342

Abstract:
下肢血行再建術において,人工血管と自家静脈との吻合が必要となることがある.しかし,この場合の吻合部は内膜肥厚による狭窄を来しやすいとされており,遠隔期のGraft failureの原因となる.今回,繰り返す人工血管-自家静脈吻合部狭窄に対して,vein cuff technique(St. Mary's boot)が有効だった症例を経験した.症例は75歳男性.右下肢重症虚血肢に対して大腿-大腿動脈(FF)人工血管バイパス術およびFFバイパスを流入血管とする右大腿-膝下膝窩動脈(FPBK)自家静脈バイパス術を施行した.術後11カ月目にFFバイパスとFPBK自家静脈バイパスの吻合部に高度狭窄病変が出現し,吻合部修復(自家静脈片によるLintonパッチ形成+中枢側再吻合)を施行した.2回目手術の10カ月後,同修復部位に高度狭窄病変が再度出現した.3回目手術は,狭窄部に対して自家静脈片でvein cuff(St. Mary's boot)を作製し,吻合を行った.3回目手術後,7年6カ月経過したが再狭窄なく経過している.Vein cuffは膝下膝窩動脈以遠への人工血管バイパスを余儀なくされた際に末梢側吻合部に対し内膜肥厚抑制効果を期待して付加される操作であるが,今回,人工血管を流入血管とするFPBK自家静脈バイパスの内膜肥厚による中枢側吻合狭窄解除に有効であった.外科的修復術の1つの手段となり得ると考えられた.
Koji Maeda
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-lxiii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.lix

Abstract:
腹部大動脈瘤(AAA)と腸骨動脈瘤は合併することが多く,以前は腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を行う際は,内腸骨動脈をコイルなどで塞栓しランディングを外腸骨動脈まで延長させる治療を行っていた.しかし近年内腸骨動脈温存デバイスが保険収載されたことで,内腸骨動脈を温存したEVARを行うことが可能となった.今回EVARにおける内腸骨動脈の塞栓方法やその合併症を含めた概要について解説する.
Kosaku Nishigawa, Takashi Yoshinaga, Jun Takaki, Ken Okamoto, Toshihiro Fukui
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xiv; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xi

Abstract:
冠動脈バイパス術(CABG)の早期および遠隔成績はグラフト開存率に大きく依存する.グラフト閉塞の原因には,グラフトの質や吻合部のトラブル,吻合部末梢側の血管床などさまざまな因子が存在する.そのため,CABGにおいては,良質なグラフトを適切な標的冠動脈に吻合するとともに,術中にグラフト血流を評価することが重要となる.本邦における日常臨床で最も普及している術中グラフト評価法には,トランジットタイム血流計(TTFM)と術中蛍光イメージング(IFI)がある.TTFMは,グラフト血流を数値化して定量的に評価できる反面,自己動脈圧やグラフト血管径に計測値が左右されてしまうという欠点がある.一方,IFIは,グラフト血流を視覚的に評価できるものの,定量的評価が難しいといった欠点がある.CABGにおけるグラフト開存率向上のためには,双方の利点を活かして術中にグラフト血流を適切に評価し,血流に問題がある場合には再吻合を躊躇なく行うことが重要である.
Keita Hayashi, Takurin Akiyoshi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 322-327; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.322

Abstract:
症例は52歳男性.呼吸困難を主訴に救急搬送された.精査の結果,高血圧性心不全の診断で緊急入院となった.入院時のCTで上腸間膜動脈分岐部直上の腹部大動脈に石灰化を伴う高度狭窄を認め,異型大動脈縮窄症と診断した.入院後,降圧管理を含む薬物治療で心不全は改善したものの,急性腎機能障害を認めた.大動脈縮窄と降圧による腎血流低下が原因と判断し,大動脈狭窄部に対する血管内治療を施行した.血管内治療では大腿動脈よりアプローチし,大動脈狭窄部に自己拡張型ステントを留置した.術後経過良好にて術後3日目に退院となった.その後外来にて降圧薬も完全に離脱し,心機能も改善した.本邦では異型大動脈縮窄症に対して各種バイパス術による治療が多く報告されているが,血管内治療による治療例の報告はまだ少ない.海外においては血管内治療例がすでに多く報告されており,本邦においても治療選択肢の1つとして考慮されるべきである.
Tomohito Kanzaki, Tomoyuki Goto, Taiji Watanabe, Haruka Fu
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 309-313; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.309

Abstract:
急性心筋梗塞後に発症する心室中隔穿孔(VSP)は重篤な合併症であり,特に後壁VSPは予後不良である.今回われわれは,後壁VSP修復術後,急性期に遺残短絡が出現・増悪し再修復術を要した症例に対し,アプローチ法を工夫し良好な結果を得たため,文献的考察を含めて報告する.症例は55歳男性.急性心筋梗塞に対する血行再建翌日に後壁VSPと診断され当院へ搬送された.同日緊急で右室切開による拡大サンドイッチ法にて修復術を行った.術直後は遺残短絡を認めなかったが術後4日目から遺残短絡が出現,徐々に増悪し心不全コントロールが困難となったため術後16日目に再手術を行った.再手術は左室側パッチと心室中隔の間に入る形で左室切開をおき視野を展開,左室側パッチを全周性に補強することで修復可能であった.再手術後遺残短絡は認めず,術後17日で軽快退院となった.今回行った左室側パッチと中隔の間に切り込む左室切開は,右室切開による拡大サンドイッチ法でのVSP修復術後遺残短絡に対し有用なアプローチであると考えられた.
Kenji Minatoya
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-lviii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.liv

Abstract:
技術の進歩や経験の蓄積によって,大動脈基部,上行大動脈,弓部大動脈,下行大動脈,胸腹部大動脈のそれぞれの解剖学的部位の人工血管置換術の手術成績は徐々に向上してきた.特に,正中切開からの基部,上行,弓部大動脈手術は一般的な手術となり成績も安定してきている.しかし,左開胸手術は近年のステントグラフト留置術の発展により,人工血管置換術の症例数は増加することなく推移しており,多くの施設では稀な手術となっている現状がある.とは言え,解剖学的区分どおりに大動脈疾患が存在するわけではなく,前述の解剖区分を跨がった,より広範囲な置換を必要とする症例も少なくない.かかる症例に対して人工血管置換術を行う場合に,病変全体を一期的に置換する場合と分割して二期的に置換する場合があり,また,ステントグラフトを用いることで,病変はすべて置換しないものの破裂する確率を減らすという方針をとることもある.そのいずれの方針にも一長一短があり,それぞれの症例において相応しい戦略を選択すべきである.これまで報告されてきた弓部を含む広範囲大動脈瘤に対する人工血管置換術における戦略を,主としてアプローチの面からまとめて報告する.
Naoki Momose
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxiv; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxii

Abstract:
心臓血管外科手術を支える体外循環は,人工的な循環であるがゆえに,かならず凝血との戦いとなる.体外循環回路のどの部分が凝血しやすいのか,また凝血によってどのようなトラブルが起こるのかを知っておく必要がある.また,体外循環前のヘパリン投与とサクションの開始のタイミング・プロタミンの管理と投与法・プロタミンによる中和とサクション停止のタイミングなどは,施設によってその作法が異なるが,日常的な行為にも大きなリスクが潜んでいる.また,思わぬ大出血での体外循環の確立までの対応も悩ましい.今回,このような諸問題を,体外循環を担う技士の立場から考えてみたい.
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