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Hiroshi Tanaka, Koichi Matsuo
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxix; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxv

Abstract:
本邦における透析患者数は増加し,これに伴い,透析患者における心臓血管外科手術数も増加している.心臓手術においては透析患者は手術成績,遠隔成績いずれにおいても非透析患者に比して,不良であり,これは大動脈手術においても同様である.高度石灰化病変に対する手術時の手技的な問題,周術期管理等いまだに解決すべき問題が山積しており,これらについての報告例,自験例をもとに解説する.
Satoru Wakasa
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xlii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxxviii

Abstract:
虚血性僧帽弁閉鎖不全症(MR)は左室心筋障害によって引き起こされる左室の構造的変化,すなわち左室リモデリングの結果生じる二次性弁膜症である.虚血性MRの合併は虚血性心疾患患者の予後不良因子とされているが,これにはMR重症度および左室機能が大きく関与している.MRによる容量負荷はさらなるリモデリングをきたすため,僧帽弁形成術や置換術により逆流を制御し,このリモデリングの悪循環を断つことが治療の目的となるが,リモデリングが進行した症例では,僧帽弁への単独介入を行ってもリバースリモデリングの達成あるいは生存率の改善において十分な効果が得られないことが分かっている.したがって,リモデリングがそれほど進行しておらず心機能が保たれている重症虚血性MRに対しては僧帽弁への単独介入で効果が期待できるが,リモデリングが進行した症例では乳頭筋等の僧帽弁下組織や左室そのものへの追加介入を検討すべきである.一方で,中等度以下の虚血性MRに対する外科介入の効果については否定的な見解が多い.このように,虚血性MRに対する外科介入は,MR重症度,左室リモデリング進行度,および術式を慎重に考慮して決定される必要がある.
Hanae Sasaki, Ryosuke Kowatari, Norihiro Kondo, Tomonori Kawamura, Masahito Minakawa
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 314-316; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.314

Abstract:
症例は68歳男性で,3時間前に発症した急激な上腹部痛を主訴に前医を受診した.造影CT検査で腎動脈下に60 mmの腹部大動脈瘤と少量の腹水を認め,腹部大動脈瘤切迫破裂として当院へ紹介搬送された.緊急開腹術の方針としたが,開腹時に膀胱直腸窩近傍を横走する索状物があり,これによる小腸の嵌頓と拡張を認めた.索状物を切離し,内ヘルニア嵌頓を解除した.腸管壊死の所見はないため腸管切除を行わず,閉腹して手術を終了した.上腹部痛は術後速やかに消失した.内ヘルニア解除後24日目に腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術を行った.術後経過は良好で人工血管置換術後9日目に退院となった.内ヘルニア嵌頓は比較的稀な疾患ではあるが,本例の経過から開腹歴のない症例においても,血性腹水貯留を伴う急性腹症として発症する点において,内ヘルニア嵌頓が腹部大動脈瘤切迫破裂との鑑別診断として重要であると考えられた.
Koichi Toda
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-liii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xlviii

Abstract:
経皮的補助循環は素早く治療開始が可能なことから一刻を争う心原性ショックに対しては,治療現場のfrontlineで使われている.Intra Aortic Balloon Pumping(IABP),Percutaneous Cardiopulmonary Support(PCPS)がおのおの年間2万例,7,000例に用いられてきたが,既存の補助循環装置では血行動態の改善と心筋の負荷軽減を同時に,かつ低侵襲に行うことはむずかしく,それらを実現できるデバイスとして左心室から大動脈へ直接血液を送り出す経皮的補助人工心臓Impellaが開発され,本邦でも2017年より保険適用となった.2021年5月の時点で202施設が補助人工心臓治療関連学会協議会インペラ部会によってインペラ認定施設として認定され,3,300例を超える症例に使われている.特に補助効果の高いImpella 5.0の装着・管理における心臓血管外科医の役割は大きく,手技や管理方法に精通することにより重症心不全急性増悪,急性心筋梗塞,劇症型心筋炎,開心術後に伴う心原性ショック症例の救命に寄与することが期待される.
Atomu Hino, Azumi Hamasaki, Kozo Morita, Yuki Ichihara, Satoshi Saitou, Hiroshi Niinami
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 305-308; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.305

Abstract:
症例は61歳女性.14年前より潰瘍性大腸炎に罹患し,近年は内服加療にてコントロールは良好であった.労作時呼吸苦の精査にて僧帽弁後尖逸脱による重度僧帽弁逆流の診断となり,当院当科にて右小開胸による低侵襲僧帽弁形成術を施行した.集中治療室帰室後の採血にて血中クレアチニンキナーゼ(CK)およびCK-MBの高値を認め,翌日以降の採血でもCK-MB高値を認め,血中トロポニン値の高値および標準12誘導にて新規にST変化を伴っていたことから術中冠動脈トラブルの可能性が否定しきれないと判断し,術後2日目に冠動脈造影を行うも狭窄所見は認めなかった.CKの改善傾向に反してCK-MB高値が遷延していたことからCK-MBの偽高値の可能性を考慮してCKアイソザイムを確認したところ,マクロCK血症と診断された.マクロCK血症では免疫阻害法によりCK-MB値が偽高値となることが知られている.開心術後ではCK,CK-MB,トロポニン値が高値になることが多く,マクロCK血症の鑑別は非常に困難である.術後データの推移や生理学的検査を参考にして術中の冠動脈トラブルを否定し,最終的診断を行っていく必要があると考えられた.
Hiroki Moriuchi, Masaaki Koide, Yoshifumi Kunii, Minori Tateishi, Satoshi Okugi, Risa Shimbori
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 328-332; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.328

Abstract:
症例は75歳男性.背部痛と発熱を主訴に当院を受診された.造影CTで右側大動脈弓,左鎖骨下動脈起始異常を伴うKommerell憩室を認め,憩室部分に起因する偽腔閉塞型の大動脈解離を発症していた.Kommerell憩室は著明に拡大しており,手術適応と判断して待機的に手術を行った.手術は胸骨正中切開で,全弓部大動脈人工血管置換術,frozen elephant trunk法,胸部下行大動脈ステントグラフト内挿術を1期的に施行した.正中開胸により良好な視野で手術ができ,ステントグラフトを追加することで良好な結果を得たので,若干の文献的考察を加えて報告する.
Tadashi Isomura, Minoru Yoshida, Shunsuke Yamagishi, Takuya Komatsu, Yuya Kobayashi, Kyohei Kawasaki, Shigehiko Yoshida
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xlvii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xliii

Abstract:
僧帽弁疾患の中で僧帽弁の弁輪部の変性による石灰化病変(Mitral annular calcification)をきたすのは欧米では約10%前後と報告されるも年齢や合併する心臓疾患によりその頻度は異なる.手術に際し石灰化弁輪の処置が問題になり石灰化を完全に除去し弁輪に糸掛けをする手技(MAC resection technique)では左室破裂や石灰化除去に要する心停止時間の延長のための術後の心不全が問題になる.このため石灰化を除去しないで石灰化弁輪を温存したまま僧帽弁手術を行う手技(MAC respect technique)も報告されるようになった.MACの解剖学的所見では石灰化の90%以上は後尖弁輪に発生し,全周性あるいは前尖に発生することが少ないことが示されることから後尖弁輪のMACを切除しない方法は多くの場合可能と考えられ,著者らの経験とともに種々の手術法と成績について述べ,これらの疾患に遭遇した場合の一助となることを期待する.
Hideaki Obara
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxxii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxx

Abstract:
現在,腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)は外科的人工血管置換術(OSR)とともに標準治療となっており,本邦でも腹部大動脈瘤手術の半数以上にEVARが施行されるようになった.EVARはその低侵襲性からOSRと比較して短期成績の優位性は明らかであるが,長期成績に関しては追加治療を中心に解決すべき問題は多々ある.日本ではEVARとOSRの成績を直接比較するランダム化比較試験(RCT)は行われていないが,欧米ではいくつかのRCTからEVARの長期成績はOSRと比べて必ずしも良好ではないことが明らかとなってきた.ステントグラフトデバイスのさらなる改良と技術的進歩により,EVARの長期成績の向上が期待されるが,EVARの低侵襲性の恩恵を継続させるためには,生涯にわたる綿密なフォローと適切な追加治療介入とともに,デバイスと治療手技の進化を引き続き追求していくことが肝要である.
Masahiro Mizumoto, Tetsuro Uchida, Yoshinori Kuroda, Atsushi Yamashita, Eiichi Oba, Jun Hayashi, Shingo Nakai, Kimihiro Kobayashi, Tomonori Ochiai
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 337-341; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.337

Abstract:
症例は18歳男性.2年前に低酸素脳症のため気管切開術,胃瘻造設術が施行された.2カ月前から気管切開孔から繰り返す出血を認めた.気管内視鏡検査で出血源を認めず,側弯を呈する重症心身障害児であること,造影CT検査で気管前面と腕頭動脈が接していること,腕頭動脈と気管の交差部位と気管カニューレ先端位置が一致していることから気管腕頭動脈瘻のハイリスク症例として予防的腕頭動脈離断術の適応と判断された.手術は術前CT, MRI検査による綿密な解剖学的評価のもと,胸骨切開を要さない胸骨上アプローチによる腕頭動脈離断術を施行した.腕頭動脈の血行再建は,左内頸動脈,左椎骨動脈優位の頭蓋内血流分布であったこと,術中脳内局所酸素飽和度の低下を認めなかったことから施行しなかった.術後の神経学的合併症を認めず,気管切開孔からの出血は消失した.造影CTで右内頸動脈および中大脳動脈の良好な描出を確認,第9病日に退院した.気管腕頭動脈瘻は致死的であり発症予防が重要であるが,予防的腕頭動脈離断術に関する一定の見解はない.重症心身障害児における胸骨上アプローチによる予防的腕頭動脈は治療選択肢の1つと考えられ,文献的考察を踏まえ報告する.
Yasuhiro Mukai, Koki Nakanishi, Masao Daimon
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxi; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xv

Abstract:
弁膜症における発生機序・重症度評価は心エコー図検査が重要な役割を担っており,2020年3月に改訂された日本循環器学会/日本胸部外科学会/日本血管外科学会/日本心臓血管外科学会合同ガイドラインの弁膜症治療のガイドライン(JCS/JATS/JSVS/JSCS 2020 Guideline on the Management of Valvular Heart Disease)1)でも,弁膜症診療における心エコー図検査はClass Iで推奨されている.また,2012年4月より新たに負荷心エコー図検査が保険収載されてから,安静時のみならず負荷時も含めた包括的な評価の重要性が再認識され,新たに多くの知見が得られている.臨床では僧帽弁狭窄症の頻度はリウマチ熱の発生率低下とともに低下しているが,大動脈弁狭窄症と僧帽弁逆流症の有病率は依然高く,特に大動脈弁狭窄症に対しては2021年1月に透析患者の重症大動脈弁狭窄症に対しても経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI ; transcatheter aortic valve implantation)が保険適応となるなど,いっそう弁膜症の包括的な評価の重要性が増している.
Takashi Kato, Hirotsugu Fukuda, Wataru Moriyama, Masataka Ohashi, Shotaro Hirota, Masahiro Seki, Masahiro Teduka, Yusuke Takei, Hironaga Ogawa, Ikuko Shibasaki
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 317-321; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.317

Abstract:
症例は90歳,男性.前医で5年前に腹部大動脈瘤に対して開腹人工血管置換術を施行され外来CTフォローを継続されていた.フォローCTにて右側大動脈弓および胸部大動脈瘤の拡大を認め当院を紹介された.造影CTで弓部大動脈瘤を認め,瘤径は長径62 mm,短径60 mmであり手術適応と判断した.先天性心奇形合併は伴わず,内臓逆位も伴わない稀な右側大動脈弓であった.90歳と超高齢者であることから血管内治療を検討したが,塞栓症,イレギュラー操作と中枢ランディングに懸念があった.術式はfrozen elephant trunk techniqueを用いた全弓部置換術を選択した.綿密な評価により適切な治療法を選択し,重大な合併症を回避することに成功した.
Takenori Kojima, Shinji Miyamoto, Takashi Shuto, Keitaro Okamoto, Madoka Kawano, Tomoyuki Wada
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 333-336; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.333

Abstract:
症例は58歳男性.突然の胸痛の後に,右頸部の疼痛,腫脹が増悪し搬送された.Stanford A型大動脈解離と診断し,腕頭動脈周囲に血腫を認めたことから同動脈の破裂を疑った.右総頸動脈は解離によって真腔閉鎖していた.緊急部分弓部置換術の方針となり,右腋窩,左大腿の2本送血で体外循環を確立したが,術中腕頭動脈が再破裂したため,右総頸動脈に脳灌流用の人工血管を吻合し,それを用いて分枝再建も行った.術後経過は良好で,脳神経合併症を認めることなく退院に至った.
Takayoshi Ueno
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxxvii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxxiii

Abstract:
ファロー四徴に対する心内修復術成績は非常に良好であり,ほとんどの症例が無症状で成人期に到達するようになったが,遠隔期肺動脈弁機能不全は必発であり,それに対する治療計画が重要である.右心不全症状を有する症例に対しては,肺動脈弁置換は拡大した右室容積を縮小させ症状を改善させるが,無症状である右室拡大症例に対しても積極的な治療介入が推奨されるようになってきた.しかし,人工弁の耐久性などの問題により手術適応は慎重にならざるを得ないため,今後,デバイス開発など新しいコンセプトを持った治療戦略を構築する必要がある.
Takafumi Abe, Kumiko Wada, Eigo Ikushima, Syotaro Higa, Hiromitsu Teratani, Syuji Nagatomi, Katsuya Kawagoe, Hirofumi Yamamoto, Takeaki Harada
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5-u1

Abstract:
日本心臓血管外科学会U-40コラムでは,専門医制度をテーマにしてU-40世代を対象にアンケートを実施し,専門医取得に際した現状や課題などについて報告してきた.新専門医制度の導入にあたり,新たにoff the job trainingと体外循環技術の参加型実習が義務付けられた.第5回目の今号では,U-40世代の人工心肺を中心とした体外循環研修の現状,研修プログラムの是非などについてアンケートを実施したので,その結果と考察について報告する.
Hajime Sakurai
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-x; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.i

Abstract:
部分右心バイパス術であるGlenn手術と,完全右心バイパス術であるFontan手術は,ともに比較的太い血管を吻合するという単純な手術ではあるが,術後に体静脈圧の上昇という特殊な血行動態をもたらす術式であり,手術手技のちょっとした違いが術後の血行動態に大きな影響を与えうる術式でもある.本稿では,右心バイパス術が辿ってきた術式の変遷の経緯を振り返りつつ,現状での適応,治療方針,術式について基本的な理解を深めることを目的とし,とくに若手外科医が本術式を新たに行う際に心に留めておいてほしい手技的なポイントについても概説した.
Koji Maeda
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-lxiii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.lix

Abstract:
腹部大動脈瘤(AAA)と腸骨動脈瘤は合併することが多く,以前は腹部ステントグラフト内挿術(EVAR)を行う際は,内腸骨動脈をコイルなどで塞栓しランディングを外腸骨動脈まで延長させる治療を行っていた.しかし近年内腸骨動脈温存デバイスが保険収載されたことで,内腸骨動脈を温存したEVARを行うことが可能となった.今回EVARにおける内腸骨動脈の塞栓方法やその合併症を含めた概要について解説する.
Kosaku Nishigawa, Takashi Yoshinaga, Jun Takaki, Ken Okamoto, Toshihiro Fukui
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xiv; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xi

Abstract:
冠動脈バイパス術(CABG)の早期および遠隔成績はグラフト開存率に大きく依存する.グラフト閉塞の原因には,グラフトの質や吻合部のトラブル,吻合部末梢側の血管床などさまざまな因子が存在する.そのため,CABGにおいては,良質なグラフトを適切な標的冠動脈に吻合するとともに,術中にグラフト血流を評価することが重要となる.本邦における日常臨床で最も普及している術中グラフト評価法には,トランジットタイム血流計(TTFM)と術中蛍光イメージング(IFI)がある.TTFMは,グラフト血流を数値化して定量的に評価できる反面,自己動脈圧やグラフト血管径に計測値が左右されてしまうという欠点がある.一方,IFIは,グラフト血流を視覚的に評価できるものの,定量的評価が難しいといった欠点がある.CABGにおけるグラフト開存率向上のためには,双方の利点を活かして術中にグラフト血流を適切に評価し,血流に問題がある場合には再吻合を躊躇なく行うことが重要である.
Keita Hayashi, Takurin Akiyoshi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 322-327; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.322

Abstract:
症例は52歳男性.呼吸困難を主訴に救急搬送された.精査の結果,高血圧性心不全の診断で緊急入院となった.入院時のCTで上腸間膜動脈分岐部直上の腹部大動脈に石灰化を伴う高度狭窄を認め,異型大動脈縮窄症と診断した.入院後,降圧管理を含む薬物治療で心不全は改善したものの,急性腎機能障害を認めた.大動脈縮窄と降圧による腎血流低下が原因と判断し,大動脈狭窄部に対する血管内治療を施行した.血管内治療では大腿動脈よりアプローチし,大動脈狭窄部に自己拡張型ステントを留置した.術後経過良好にて術後3日目に退院となった.その後外来にて降圧薬も完全に離脱し,心機能も改善した.本邦では異型大動脈縮窄症に対して各種バイパス術による治療が多く報告されているが,血管内治療による治療例の報告はまだ少ない.海外においては血管内治療例がすでに多く報告されており,本邦においても治療選択肢の1つとして考慮されるべきである.
Tomohito Kanzaki, Tomoyuki Goto, Taiji Watanabe, Haruka Fu
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 309-313; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.309

Abstract:
急性心筋梗塞後に発症する心室中隔穿孔(VSP)は重篤な合併症であり,特に後壁VSPは予後不良である.今回われわれは,後壁VSP修復術後,急性期に遺残短絡が出現・増悪し再修復術を要した症例に対し,アプローチ法を工夫し良好な結果を得たため,文献的考察を含めて報告する.症例は55歳男性.急性心筋梗塞に対する血行再建翌日に後壁VSPと診断され当院へ搬送された.同日緊急で右室切開による拡大サンドイッチ法にて修復術を行った.術直後は遺残短絡を認めなかったが術後4日目から遺残短絡が出現,徐々に増悪し心不全コントロールが困難となったため術後16日目に再手術を行った.再手術は左室側パッチと心室中隔の間に入る形で左室切開をおき視野を展開,左室側パッチを全周性に補強することで修復可能であった.再手術後遺残短絡は認めず,術後17日で軽快退院となった.今回行った左室側パッチと中隔の間に切り込む左室切開は,右室切開による拡大サンドイッチ法でのVSP修復術後遺残短絡に対し有用なアプローチであると考えられた.
Kenji Minatoya
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-lviii; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.liv

Abstract:
技術の進歩や経験の蓄積によって,大動脈基部,上行大動脈,弓部大動脈,下行大動脈,胸腹部大動脈のそれぞれの解剖学的部位の人工血管置換術の手術成績は徐々に向上してきた.特に,正中切開からの基部,上行,弓部大動脈手術は一般的な手術となり成績も安定してきている.しかし,左開胸手術は近年のステントグラフト留置術の発展により,人工血管置換術の症例数は増加することなく推移しており,多くの施設では稀な手術となっている現状がある.とは言え,解剖学的区分どおりに大動脈疾患が存在するわけではなく,前述の解剖区分を跨がった,より広範囲な置換を必要とする症例も少なくない.かかる症例に対して人工血管置換術を行う場合に,病変全体を一期的に置換する場合と分割して二期的に置換する場合があり,また,ステントグラフトを用いることで,病変はすべて置換しないものの破裂する確率を減らすという方針をとることもある.そのいずれの方針にも一長一短があり,それぞれの症例において相応しい戦略を選択すべきである.これまで報告されてきた弓部を含む広範囲大動脈瘤に対する人工血管置換術における戦略を,主としてアプローチの面からまとめて報告する.
Naoki Momose
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 5-5-xxiv; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.5.xxii

Abstract:
心臓血管外科手術を支える体外循環は,人工的な循環であるがゆえに,かならず凝血との戦いとなる.体外循環回路のどの部分が凝血しやすいのか,また凝血によってどのようなトラブルが起こるのかを知っておく必要がある.また,体外循環前のヘパリン投与とサクションの開始のタイミング・プロタミンの管理と投与法・プロタミンによる中和とサクション停止のタイミングなどは,施設によってその作法が異なるが,日常的な行為にも大きなリスクが潜んでいる.また,思わぬ大出血での体外循環の確立までの対応も悩ましい.今回,このような諸問題を,体外循環を担う技士の立場から考えてみたい.
Daiki Hirayama, Daisuke Hiraoka, Norihisa Yuge, Ryoji Kinoshita, Yohei Yamamoto, Hidetoshi Uchiyama, Susumu Manabe, Mashiro Ohnuki, Kazunobu Hirooka
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 301-304; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.301

Abstract:
心臓血管外科手術後の非閉塞性腸管膜虚血(NOMI : non-occlusive mesenteric ischemia)は診断や治療が難しい予後不良な疾患である.今回開心術直後にNOMIと診断,救命した1例を経験した.症例は77歳,男性.心不全を契機に入院し重度大動脈弁狭窄症と診断された.大動脈弁置換術を施行し,帰室1時間後から血行動態が不安定となり乳酸値の上昇や腹部に網状皮斑を認めた.造影CTを施行したところNOMIが疑われ,プロスタグランジン製剤の全身持続静脈投与を開始した.血管造影検査にて上・下腸間膜動脈に散在した血管狭窄部を認めたためNOMIと診断し,カテーテルを留置してパパベリン塩酸塩の選択的動注を開始した.その後,血行動態の改善を認め救命できた.NOMIの早期診断・治療を可能にするために,発症時のプロトコールを作成しておくことが円滑な治療のために重要と考えられた.
Kenichi Arata, Itsumi Imagama, Yoshiya Shigehisa, Kosuke Mukaihara, Kenji Toyokawa, Tomoyuki Matsuba, Shinya Kuramoto, Shuji Nagatomi, Yutaka Imoto
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 342-347; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.342

Abstract:
下肢血行再建術において,人工血管と自家静脈との吻合が必要となることがある.しかし,この場合の吻合部は内膜肥厚による狭窄を来しやすいとされており,遠隔期のGraft failureの原因となる.今回,繰り返す人工血管-自家静脈吻合部狭窄に対して,vein cuff technique(St. Mary's boot)が有効だった症例を経験した.症例は75歳男性.右下肢重症虚血肢に対して大腿-大腿動脈(FF)人工血管バイパス術およびFFバイパスを流入血管とする右大腿-膝下膝窩動脈(FPBK)自家静脈バイパス術を施行した.術後11カ月目にFFバイパスとFPBK自家静脈バイパスの吻合部に高度狭窄病変が出現し,吻合部修復(自家静脈片によるLintonパッチ形成+中枢側再吻合)を施行した.2回目手術の10カ月後,同修復部位に高度狭窄病変が再度出現した.3回目手術は,狭窄部に対して自家静脈片でvein cuff(St. Mary's boot)を作製し,吻合を行った.3回目手術後,7年6カ月経過したが再狭窄なく経過している.Vein cuffは膝下膝窩動脈以遠への人工血管バイパスを余儀なくされた際に末梢側吻合部に対し内膜肥厚抑制効果を期待して付加される操作であるが,今回,人工血管を流入血管とするFPBK自家静脈バイパスの内膜肥厚による中枢側吻合狭窄解除に有効であった.外科的修復術の1つの手段となり得ると考えられた.
Yuchen Cao, Masaaki Koide, Yoshifumi Kunii, Minori Tateishi, Kazumasa Watanabe, Satoshi Okugi, Risa Shimbori
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 225-230; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.225

Abstract:
[目的]外傷性胸部大動脈損傷(BTAI ; blunt traumatic thoracic aortic injury)に対する治療の第一選択は開胸手術(OR ; Open repair)から胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR ; thoracic endovascular aortic repair)へ移りつつある.当院におけるBTAIに対するORおよびTEVARの短期・中期成績を比較・検討する.[方法]2001年3月から2019年8月までに当院で手術を行ったBTAI 18例についてOR群とTEVAR群に分けて後方視的に検討した.[結果]OR群7例(38.9%),TEVAR群11例(61.1%).平均年齢 : OR群62.0±15.2歳,TEVAR群61.8±21.3歳,平均手術時間(他科手術を除く):OR群 444±145分,TEVAR群 65±14分(p<0.001),平均術中出血量:OR群 2,787±1,578 ml,TEVAR群 210±376 ml(p<0.001),平均術中輸血量:OR群 5,042±2,219 ml,TEVAR群 929±751 ml(p<0.001),平均ヘパリン投与量:OR群 20.3±4.1 ml,TEVAR群 7.9±8.5 ml(p<0.01).術後30日死亡:OR群 28.6%(2/7),TEVAR群 0%(0/11)(p=0.14).TEVAR群で術後にエンドリーク 0例,対麻痺 1例,両側小脳梗塞1例を認めた.平均ICU滞在期間,平均在院期間,自宅退院率,中期全死亡率,中期再介入率(平均観察期間42.0±56.9カ月)に関して両群に有意差を認めなかった.[結論]TEVAR群はOR群と比較して有意に手術時間が短く,術中出血量・輸血量・ヘパリン投与量が少なかった.TEVAR群の手術成績は良好であり,BTAIに対する第一選択として妥当と考える.
Atsunobu Oryoji, Takanori Kono, Kazuyoshi Takagi, Kosuke Saku, Satoshi Kikusaki, Yasuyuki Zaima, Takahiro Shojima, Tohru Takaseya, Koichi Arinaga, Eiki Tayama
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 256-260; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.256

Abstract:
症例は67歳の男性,仕事中に心肺停止(Cardiopulmonary arrest : CPA)となり当院に搬送された.心肺停止蘇生後,冠動脈造影検査にて3枝病変を認めた.冠血行再建の適応があると判断されたが,神経学的予後が不明のためIMPELLA CP®を留置した後に低体温療法を含めた全身管理を行った.24時間後に復温を開始し,従命可能で,四肢麻痺がないことを確認できたため準緊急でIMPELLA CP®使用下に心拍動下冠動脈バイパス術を施行した.吻合操作中,血行動態は安定していた.神経学的異常なく,術後74日後に自宅退院となった.CPA蘇生後の重症虚血性心疾患にIMPELLA CP®,低体温療法での加療が有効であったので報告する.
Yasuko Gotake, Hiroaki Takahashi, Shuto Tonoki, Takaki Sugimoto
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 274-278; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.274

Abstract:
乾酪様僧帽弁輪石灰化(Caseous calcification of mitral annulus ; CCMA)は僧帽弁輪石灰化(Mitral annular calcification ; MAC)の1亜型で頻度の少ない疾患である.手術適応は明確ではないが,脳梗塞の危険性を考慮して手術が検討される.当院では短期間に3例の手術症例を経験し,腫瘤の切開ドレナージにより良好な結果を得た.3例はいずれも慢性腎不全患者であり,2例は透析患者であった.透析患者など動脈硬化が進行した患者において僧帽弁輪に腫瘤性病変を指摘された場合,CCMAも鑑別にあげ,適切な治療を判断する必要がある.
Toshihiko Nishi, Takenori Yamazaki
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 248-251; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.248

Abstract:
部分肺静脈還流異常症の多くは心房中隔欠損症を合併する.今回われわれは成人期に発見された心房中隔欠損症を合併しない部分肺静脈還流異常症に対する手術例を経験したので報告する.症例は44歳男性,喀血を主訴に当院を受診した.検査の結果,左肺動脈欠損症により異常に発達した気管支動脈が喀血の原因であると判明し,気管支動脈塞栓術を施行した.その後の精査で右上肺静脈が上大静脈に還流する部分肺静脈還流異常症(Qp/Qs 3.33)および大動脈弁閉鎖不全症と診断した.喀血による緊急入院から約2カ月後にWarden変法,大動脈弁置換術を施行した.術後CTにて上大静脈および右上肺静脈の再建形態は良好であり,術後38日目に独歩退院した.
Hikaru Uchiyama, Kojiro Furukawa, Tomofumi Fukuda, Yuichiro Hirata, Tatsushi Onzuka, Eiki Tayama, Shigeki Morita
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 235-239; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.235

Abstract:
冠動脈大動脈起始異常症は比較的稀な先天性冠動脈異常である.心筋虚血や心室性不整脈が問題となるが,初発症状が心停止である例が約半数との報告もある.しかし,かかる病態に対する手術適応や手術術式に関して不明な点も多い.今回,右冠動脈大動脈起始異常症に対して外科治療を行い良好な結果を得たので報告する.繰り返す胸部圧迫感を主訴とする47歳男性に精査を行ったところ,右冠動脈が左バルサルバ洞より分岐する右冠動脈大動脈起始異常症であった.血液検査,心電図,心臓カテーテル検査を含め客観的な心筋虚血所見を認めなかったものの,右冠動脈の比較的急峻な大動脈からの起始角度,両大血管間に挟まれた走行形態が胸部症状に関与している可能性と,突然死の可能性が否定できなかったため,手術の方針とした.手術は右冠動脈移植術を施行した.画像上良好な結果が得られ,術後一年の現在,胸部症状の再燃なく外来経過観察中である.
Emi Nagata, Takashi Igarashi, Hirono Satokawa, Tsuyoshi Fujimiya, Hiroharu Shinjo, Keiichi Ishida, Hitoshi Yokoyama
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 279-282; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.279

Abstract:
症例は57歳男性.2週間以上持続した心不全症状を認め,経胸壁心臓超音波検査で左室のびまん性壁運動低下を認めた.うっ血性心不全の診断で内科的治療を開始したが,第5病日に施行した造影CT検査で大動脈基部から両側内腸骨動脈までに及ぶ偽腔開存型の大動脈解離を認めたため手術となった.術中所見から解離は亜急性期から慢性期のものと推察され,大動脈基部に及ぶ解離により左冠動脈血流が制限されて虚血性心筋症を発症し心不全を呈したと考えられた.合併症なく術後28日目に独歩退院した.大動脈解離に起因する冠血流障害によって虚血性心筋症を発症し,診断に難渋した1例について報告する.
Yuya Komori, Naoki Wada, Naohiro Kabuto, Yuta Kuwahara, Yukihiro Takahashi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 244-247; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.244

Abstract:
症例は4歳10カ月男児,出生時心疾患の指摘なし.4歳3カ月時,停留精巣の手術の際,啼泣後にST低下を伴う心電図変化が続き精査の方針となった.心臓カテーテル検査では,心機能は良好,有意な大動脈弁逆流も認めなかったが,左冠尖の低形成を認めた.大動脈造影では,左冠動脈への順行性血流が乏しく,右冠動脈からの側副血管により逆行性に造影されていた.造影された左冠動脈自体には狭窄がなく,入口部に造影剤の貯留を認めていたため,弁尖による冠血流流入障害を考え,無症状ではあったが手術の方針となった.術中所見では,低形成の左冠尖が左バルサルバ洞を覆い隠すように大動脈壁に付着していることで,左冠動脈入口部への冠血流の流入障害を引き起こしていた.大動脈離断部から左冠動脈入口部直上にかけてパッチで拡大した.術後経過は良好であり,術当日に抜管した.翌日にはICUを退室した.術後経胸壁心エコーでは心機能は良好で,有意な大動脈弁逆流も認めず,左冠動脈の順行性血流も確認できた.POD11に退院した.術後半年で行った心臓カテーテル検査でも大動脈弁逆流は認めず,左冠動脈には有意な狭窄はなく,右冠動脈からの逆行性血流も消失していた.稀少な症例を経験したので報告する.
Hiroki Moriuchi, Naoki Washiyama, Yuko Ohashi, Kazumasa Tsuda, Daisuke Takahashi, Katsushi Yamashita, Norihiko Shiiya
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 287-290; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.287

Abstract:
症例は50歳男性.4年前,急性A型大動脈解離に対し,他院で緊急上行大動脈置換術+冠動脈バイパス術が実施された.術後からLDH高値とヘモグロビンの低下が遷延し,術1年後に前医血液内科にて溶血性貧血と診断された.頻回な輸血を要し,前医から手術実施施設へ因果関係を照会されたが診断がつかず,当科へ紹介となった.造影CTの結果,上行大動脈人工血管に110度の高度屈曲を認め,溶血の原因と考えられた.カテーテル検査で同部位圧較差は60 mmHgであった.屈曲解除と遺残偽腔の血栓閉塞を期待して,再上行大動脈置換術+全弓部置換術+frozen elephant trunk手術を施行した.術後経過は良好で溶血は消失した.人工血管の高度屈曲は溶血の原因となり得るため注意が必要である.
Yoshinori Inoue, Kenji Namiguchi, Yusuke Kinugasa, Yutaro Matsuno, Hiroshi Kodama, Hiromu Horie, Sayako Nakagawa
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.4-u1

Abstract:
心臓血管外科修練医は手術手技向上のためOFFJTをはじめとするさまざまなトレーニングに取り組む.本稿ではU-40会員を対象に,標準的な手術手技獲得にむけてどのような工夫をしているかアンケート調査を行ったので考察を加え報告する.
Yukiko Yamada, Ryuhei Yamamoto, Humiaki Shikata, Toru Okamura, Takamasa Takeuchi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 240-243; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.240

Abstract:
症例は完全大血管転位症の男児で,頭蓋内出血と左室流出路狭窄のために適正時期である新生児期に大動脈スイッチ手術を施行できず,低酸素血症に対して生後5カ月時に姑息的にBlalock-Taussig手術を行った.しかしその後肺高血圧症が進行し,感染をきっかけに体肺短絡の右左シャントを生じるという稀な病態を生じた.右鎖骨下動脈に吻合したシャントのため,右上肢のSpO2と左上肢および下肢SpO2とに乖離を認めた.治療は感染症治療とともに昇圧剤で体血圧を上げ,肺高血圧症に対して酸素投与と一酸化窒素(NO)吸入療法を行い改善した.体血圧を超える高度肺高血圧症に対してもNO吸入療法は有効であり,またハイフローセラピーによるNO吸入も有用であった.その後1歳でSenning手術へ至ることができたため,報告する.
Ryo Ikeda, Atomu Hino, Kozo Morita, Azumi Hamasaki, Hiroshi Niinami
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 261-264; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.261

Abstract:
症例は71歳男性.42年前の29歳時に大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁狭窄症に対してLillehei-Kaster弁(16A)を用いた大動脈弁置換術と僧帽弁直視下交連切開術を当科で施行した.術後より抗凝固療法の導入なく当院外来で経過観察されていたが,術後20年目に担当医の変更に伴い抗凝固療法が導入された.経過観察中に平均圧較差はおおむね40~60 mmHgで推移し,特にイベントなく経過していたが,2020年1月に肺炎を契機に生じた頻脈により起座呼吸や下腿浮腫などの心不全症状を認めたため入院となった.経胸壁心エコー検査で大動脈弁の圧較差の増大を認めたため,心不全加療後に大動脈弁再置換術を施行した.Lillehei-Kaster弁には劣化や構造変化はなく,弁の可動制限や血栓形成も認めなかったが,左室側にpannusの増生を認め,これが圧較差増大の原因と考えられた.Lillehei-Kaster弁の長期間経過後の再手術の報告は他になく,長期経過観察中の圧較差の推移を検討した報告もないため報告する.
Yugo Murakami, Takashi Miura, Ichiro Matsumaru, Shun Nakaji, Kikuko Obase, Kiyoyuki Eishi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 291-293; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.291

Yosuke Ikeda, Yuhei Saitoh, Naoki Sumi, Shingo Ishiguro, Takeshi Soeda, Yoshinobu Nakamura
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 265-269; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.265

Abstract:
症例は69歳女性の維持透析患者.重症大動脈弁閉鎖不全症に対し,大動脈弁置換術を施行した.初回開心術であったが,上行大動脈が周囲組織と強固に癒着していた.しかし大動脈壁には炎症を疑わせる所見は認めず,大動脈弁尖の肥厚・短縮を認めた.切除した大動脈弁尖の病理所見では,膿瘍形成とその周囲での好中球・形質細胞・リンパ球の浸潤を伴う炎症性肉芽組織を認めた.大動脈弁の所見に加えて,腎障害,白内障,難聴を合併していたことから血管炎症候群や膠原病を疑い,術後に各種検査を行った.HLA-B52の陽性所見など,高安動脈炎に類似する病態は認めたものの,特定の疾患の診断には至らず,非特異性炎症性大動脈弁閉鎖不全症と診断した.術後炎症反応高値が持続していたことから,ステロイド内服を開始したところ,すみやかに炎症反応の低下が得られ,人工弁縫合部の離開などの合併症を起こすことなく経過している.非特異性炎症性大動脈弁閉鎖不全症に対してステロイド投与が有効と思われた症例を経験したので報告する.
Naoya Sakoda, Hideo Yoshida, Takuya Kawabata, Munehiro Saiki, Yasuhumi Fujita, Keiji Yunoki, Kunikazu Hisamochi
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 252-255; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.252

Abstract:
症例は67歳男性.57歳時に陳旧性心筋梗塞,労作性狭心症に対して冠動脈バイパス手術(CABG)を施行され,59歳時に収縮性心膜炎を発症した.心膜切除および心外膜切開を施行し,ePTFE心膜シートによる心膜補填を行った.術後経過は良好であったが,8年後に腹部膨満・浮腫が出現した.心エコー検査,カテーテル検査の結果,収縮性心膜炎の再発と診断され,再度手術を施行した.手術所見はePTFE心膜シートの表裏両面に硬い被膜が形成されており,シートと被膜を切除することで拡張障害が解除された.将来の再手術の可能性を考慮して施行したePTFE心膜シートによる心膜補填であったが,結果的にこれが原因で収縮性心膜炎の再発を来したものと考えられた.この経験から心膜補填の適応は慎重に検討されるべきであると考えられた.
Yu Murakami, Yoshihiro Oshima, Hironori Matsuhisa, Tomonori Higuma, Shunsuke Matsushima, Shota Hasegawa, Yuson Wada
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 231-234; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.231

Abstract:
症例は38歳男性.右室型単心室症,肺動脈狭窄,左上大静脈遺残に対して2歳時にoriginal Blalock-Taussig shuntが施行された.38歳時に感染性心内膜炎に罹患し,精査にて硬膜動静脈瘻と径40 mmのBlalock-Taussig shunt瘤を認めた.心臓カテーテル検査と,心臓MRIにてグレン手術の適応と十分量の順行性肺血流を確認した上で,瘤切除および両側両方向性グレン手術を行った.退院時の経皮酸素飽和度は85%と良好であった.成人期のグレン手術に関する報告は少なく,手術適応,術後の低酸素血症に対し適切な評価と対策を要するため,文献的考察も含め報告する.
Jun Hayashi, Tetsuro Uchida, Yoshinori Kuroda, Eiichi Ohba, Masahiro Mizumoto, Atsushi Yamashita, Shingo Nakai, Kimihiro Kobayashi, Tomonori Ochiai
Japanese Journal of Cardiovascular Surgery, Volume 50, pp 283-286; https://doi.org/10.4326/jjcvs.50.283

Abstract:
Leriche症候群は腹部大動脈から腸骨動脈領域の閉塞性疾患で,虚血性心疾患を高頻度に合併する.冠動脈バイパスの重要なグラフトである内胸動脈が,下肢への重要な側副血行路となっていることが多く,内胸動脈の使用で下肢虚血増悪を惹起する可能性のあることが治療方針を決定する上で問題となる.血管内治療(EVT)の進歩はLeriche症候群の治療をも可能とし,虚血性心疾患を合併したLeriche症候群の治療戦略に新たな選択肢が加わった.今回われわれは,症例ごとに異なる戦略に基づいたテイラーメイド治療を3症例に行った.症例1は78歳の男性.EVTによる下肢の血行再建を先行し,冠動脈病変に対するカテーテル治療を施行した.症例2は72歳の男性.左下肢へのEVTを先行した.二期的に左内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術およびEVTが困難であった右下肢への血行再建として大腿動脈-大腿動脈バイパス術を行った.症例3は63歳の男性.不安定狭心症と大動脈弁狭窄症を合併していたため,左内胸動脈を使用した冠動脈バイパス術と大動脈弁置換術を先行し,二期的に下肢の外科的血行再建を行った.Leriche症候群の治療にEVTという新たな選択肢が加わったことで,虚血性心疾患を合併した症例に対しても,低侵襲かつ効果的な治療が可能になると考えられた.
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