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Takayuki Muramoto, Ryohei Watanabe, Nobuya Shiba, Tomoka Yokota, Taisei Nakamura
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 331-334; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.331

Abstract:
黒毛和種去勢牛の枝肉(n=21)の第6から第7肋骨間の切開面に位置する胸最長筋のオレイン酸割合とインピーダンスとの関係について検討を行った.接触型電極を装着したLCRメータを用い,電極対の距離を1cmまたは3cmとして胸最長筋の表面に接触させ,1Hz, 120Hz, 1kHz, および100kHzにおけるインピーダンスを測定した.また,ガスクロマトグラフィー法により胸最長筋のオレイン酸割合を分析した.電極対の距離を1cmとした測定では,胸最長筋の1kHzにおけるインピーダンスとオレイン酸割合との間に有意な正の相関が得られた.電極対の距離を3cmとした測定では,胸最長筋の120Hz, 1kHz, および100kHzにおけるインピーダンスとオレイン酸割合との間に有意な正の相関が得られた.本研究の結果から,電極対の距離を3cmとしてインピーダンス測定することにより,枝肉肋骨間の切開面に位置する胸最長筋のオレイン酸割合を広い範囲の周波数で推定できることが示された.
川﨑 淨教
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 265-278; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.265

Abstract:
近年,新たな動物性タンパク質源として昆虫の飼料化が世界的に検討されている.本総説では,飼料用昆虫に関する海外や日本国内の動向を紹介し,ニワトリやブタを対象とした先行研究をまとめて検討した.飼料用昆虫の価格は高価であり,法律も未整備な点が多く,その両方が飼料用昆虫の大量使用を阻害する大きな要因となっていることを示した.一方,ニワトリやブタでは飼料用昆虫は魚粉や大豆粕などの従来のタンパク質源と代替可能であり,家畜の腸内環境の改善や免疫を賦活する可能性が示された.今後は飼料用昆虫の給餌が家畜に及ぼす影響の作用メカニズムの解明と飼料用昆虫が社会に受容されるための法整備,安全性の確立が必要になると考えられた.
Yuya Shimizu, Kazato Oishi, Yuta Sonoda, Akifumi Ogino, Takashi Osada, Hiroyuki Hirooka
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 361-369; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.361

Abstract:
本研究では,汚水処理システムのどのような属性を養豚農家が重要視しているかを定量評価するため,4道県の養豚農家を対象にアンケート調査による離散型選択実験を行った.汚水処理システムに対し,「水質の改善度」「臭気の除去力」「技術の難易度」「費用」に加え,温室効果ガス(GHG)削減効果を示す「GHG削減量」の5属性を設定して選択セットを作成し,農家に提示した.その結果,「水質の改善度」が最も大きな選好の値となり,予想通り農家は水質汚濁防止法による暫定排水基準を強く意識していることが示された.また現状では規制対象外の「GHG削減量」に対しても,わずかではあるものの正の選好を示すことが明らかとなった.今後,環境改善に関する汚水処理システムの属性に対し農家の支払意志をより向上させるには,環境改善の重要性をさらに農家に周知し,その具体的な取り組み方策を提示することが重要であると示唆された.
Hidemi Oyama, Kiyoto Imamura, Shinichi Sakamoto, Kazutaka Nishi, Kotaro Kawabe, Shin Okamoto, Takeshi Honda, Kenji Oyama, Takeshi Shimogiri
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 285-291; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.285

Abstract:
子牛の死廃事故の1つである死産は,産子および繁殖雌牛の死亡による収入の減少や母体の損傷による繁殖性の低下を引き起こすことから,繁殖農家にとって経済的損失となる.本研究では,鹿児島県産黒毛和種213,261頭のフィールドデータを使って死産の発生状況を調査し,単形質閾値父親-母方祖父モデルを用いて死産の遺伝的パラメータを推定した.その結果,死産率は2.0%であり,死産の直接遺伝率および母性遺伝率は,それぞれ3.2%±1.1%および3.5%±1.7%と推定されたことから,遺伝的な要因が関連しているものの,その影響は小さいことが示唆された.また,冬期の分娩や近交係数の上昇,雌子牛よりも雄子牛で死産になりやすいことが示された.
浅野 早苗
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 293-300; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.293

Abstract:
カットフルーツの主原料であるパイナップルの加工過程で発生する外皮や芯を圧搾・脱水した物の栄養価および粗飼料因子,通過速度および給与したヤギのルーメンや血液の性状,酸化ストレスマーカーに及ぼす影響を評価した.去勢ヤギ4頭に基礎飼料としてヘイキューブを,試験飼料として基礎飼料の30%(乾物)を脱水パイナップル残渣に置換したものを給与し,全糞採取法による消化試験を行った.脱水パイナップル残渣のNDFは乾物中割合:60%以上,消化率:約80%とどちらも高く,TDN含量は73.4%となった.粗飼料因子は試験飼料で有意に高かった.一方,脱水パイナップル残渣給与により,ルーメン内で乳酸の検出とプロピオン酸割合の低下が認められた.脱水パイナップル残渣は良質な粗飼料として期待できる半面,ルーメンアシドーシスのリスクが懸念され,多給する場合には充分に飼料の馴致期間を設ける必要があると考えられる.
Takayuki Muramoto, Tomoya Tsunoda, Yoshiki Yoshida
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 327-330; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.327

Abstract:
異なる品種(軽米,五戸,月山,および一才)のサルナシの果汁の塗布が日本短角種牛肉(n=7)のテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響について検討を行った.サルナシ果汁を塗布した筋肉サンプルを40°Cで1時間貯蔵してドリップロスを測定し,次に60°Cで3分間の湯浴を行ってクッキングロスを測定した.また,最大荷重,ガム性荷重,凝集性,および付着性を測定した.サルナシの果汁を塗布した筋肉サンプルのドリップロスはサルナシの品種による有意な影響を受けなかった.軽米または五戸の果汁を塗布した筋肉サンプルは月山または一才の果汁を塗布したものに比較して,クッキングロスが有意に高く,また最大荷重およびガム性荷重が有意に低かった.本研究の結果から,軽米または五戸の果汁を塗布した牛肉は月山または一才の果汁を塗布したものに比較して,加熱時の保水性は低くなるものの,軟化効果は高くなることが示された.
Moyu Kobayashi, Tomoko Saitoh
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 351-359; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.351

Abstract:
北海道和種馬における母子間距離と母子の行動を調査した.生産牧場にて,2018年12月~2019年9月に生まれた北海道和種馬の子馬22頭およびその母馬を対象とし,ドローンで2019年5月~10月に映像撮影した.記録対象は0~8ヵ月齢の子馬とその母馬とし,映像より母子間距離と母子の行動を記録した.ウマは,高度30 mからのドローン撮影に対して警戒行動を示すことはなかった.月齢ごとの母子間距離の分布は正規分布せず,幾何分布で良く近似(R2=0.919)できることが明らかとなった.月齢ごとの母子間距離の中央値は4ヵ月齢と5ヵ月齢の間で変化しており0~4ヵ月齢では月齢に伴って有意(P<0.01)に増加していたが,5~8ヵ月齢では減少していた.さらに,0~4ヵ月齢の子馬において食草行動と母子間距離の間には直線的な有意(P<0.01)な相関がみられたが,5ヵ月齢以降は有意な相関はみられなかった.
Takayuki Muramoto, Mizuho Nakai, Yuiko Suzuki, Sakumi Inoue, Mitsuharu Ishida, Kazunari Kinoshita, Shigeki Hirata
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 335-341; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.335

Abstract:
筋肉のpHが22頭の野生ニホンジカ(Cervus Nippon)の胸最長筋(M. longissimus thoracis)の保水性,遊離アミノ酸含量,硬さ,色調,酸化,脂肪酸組成,および抗酸化物質含量に及ぼす影響について検討を行った.鹿肉のpHはドリップロス,水分含量,剪断力価,飽和脂肪酸割合,一価不飽和脂肪酸割合,および多価不飽和脂肪酸割合に有意な影響を及ぼさなかった.鹿肉のpHとクッキングロス,L*値,a*値,b*値,メトミオグロビン割合,チオバルビツール酸価,およびα-トコフェロール含量との間に有意な負の相関がみられた.鹿肉のpHと遊離アミノ酸総含量との間に有意な正の相関がみられた.本研究の結果から,鹿肉はpHが高くなるのに伴って,明度,赤色度,黄色度は低くなるものの,加熱中の保水性が高くなり,酸化が抑制され,また呈味成分である遊離アミノ酸の総含量が高くなることが示された.
Daisuke Kawauchi, Keiko Nishimura, Toshihiro Takahashi, Tomoyuki Kawashima
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 301-307; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.301

Abstract:
発酵TMR(混合飼料)の調製過程で,発酵により揮発性成分が生成する.発酵TMRを用いた消化試験において,化学成分の分析のために試料を加熱乾燥すると,揮発性成分が消失するため栄養価に反映されない.そこで揮発性成分を考慮した精確な栄養価を評価するため,発酵TMRを給与する消化試験を2回行い,揮発性成分の加味の有無が栄養価に及ぼす影響を検討した.消化試験のうち1回目は約5%のビール粕を含むか,含まないか(5%BTMR, CTMR1),2回目は約8%のビール粕を含むか含まないか(8%BTMR, CTMR2),それぞれ2種類の発酵TMRを用いた.本研究に用いた発酵TMR中のエタノール,乳酸,酢酸,酪酸およびVBNの加熱乾燥による揮発率の平均は,それぞれ99.4,12.4,74.4,83.5,78.4%だった.乾物消化率については揮発性成分を考慮すると考慮しない場合と比較して平均1.5ポイント高かった.
Natsumi Yazaki, Yoshinobu Uemoto, Shinichiro Ogawa, Masahiro Satoh
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 279-284; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.279

Abstract:
選抜における比の形質の影響を検討するため,比の形質を選抜形質に含めた場合と含めない場合における経済的な利益を比較した.ブタにおける飼料要求率を構成する増体重および飼料摂取量についてモンテ・カルロ法によるコンピュータシミュレーションにより,第0世代から第3世代までの6,550頭分の継代記録を発生させ,増体重,飼料摂取量および飼料要求率における遺伝的パラメーターを推定した.次に,基礎集団の記録(雌雄各10,000頭)を発生させ,飼料要求率の直接選抜,増体重と飼料摂取量の相対希望改良量による指数選抜および増体重と飼料摂取量の総合育種価を最大にする選抜を行った.飼料要求率の直接選抜による利益は,他の選抜方法よりも小さくなる傾向にあった.一方,選抜形質に飼料要求率が含まれる場合,改良量の期待値と実現値との間に差のみられる場合が多く,結果として利益の期待値と実現値との間に大きな差がみられた.したがって,比の形質である飼料要求率の直接選抜は利益を最大化する改良には適しておらず,増体重と飼料摂取量に改良目標がある場合には構成形質による選抜が望ましいことが示唆された.
Namiko Nakamura, Akira Tominaga, Daisuke Ishii, Satoshi Matsumoto, Takayasu Inadome, Katsunori Shioya, Katsumi Akai, Ichiro Oshima, Yoshitaka Nakanishi, Koji Takayama
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 343-349; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.343

Abstract:
3色覚であるヒトの色覚異常(2色覚)のうち,Protanopia(P),Deuteranopia(D)およびTritanopia(T)型の場合にはそれぞれ赤と青緑,赤紫と緑および青と緑の色が識別困難とされる.本研究では生理学的に2色覚とされるニホンジカ(Cervus nippon;以下,シカ)がこれらを識別可能か否かについてオペラント条件付けにより検証した.シカ2頭(推定3歳:オス・メス各1頭)を試験に用いた.1セッションを20試行とし,正刺激として提示した色パネルの選択率80%以上(χ2検定,P<0.01)が3セッション連続でみられた場合,シカは2つの色を識別可能と判定した.オスは18,5および3セッション目,メスは12,14および4セッション目でそれぞれの色の組み合わせを識別できた.以上より,供試したシカはP, DおよびT型のヒトで区別し難い色の組み合わせをすべて識別可能であり,行動学的手法によって導き出されたシカの色識別能力はヒトの2色覚と一致しないことが示された.
Kimiko Kohira, Toshiaki Okumura, Kaoru Saito, Hironori Sakuma, Sachio Nakayama, Fumie Ohhashi, Shinji Sato, Kazunori Matsumoto, Masakazu Irie
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 309-318; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.309

Abstract:
国内消費者が好む豚肉の脂肪交雑の程度(食味と外観)を明らかにするため,筋肉内脂肪含量の異なる豚肉を用いた消費者型官能評価と,豚肉の脂肪交雑外観などに対する消費者意識を調査した.官能評価には,筋肉内脂肪含量3.6%,6.0%と8.0%の胸最長筋を焼き肉法で調理し供試した.318名の消費者型官能評価結果から,筋肉内脂肪を6.0%以上含む豚肉は3.6%の豚肉より「やわらかさ」,「多汁性」と「風味」の各要因で高く評価され,「総合的なおいしさ」も高かった(P<0.05).一方,筋肉内脂肪含量6.0%と8.0%の豚肉では「総合的なおいしさ」にほとんど差はなかった.意識調査では,7割以上の回答者が筋肉内脂肪含量4%と6%に相当する脂肪交雑外観を2%や10%相当よりも好んだ.以上から,脂肪交雑のある豚肉は外観,食味ともに国内消費者に好まれ,胸最長筋の筋肉内脂肪含量は6.0%程度まででよいことが示された.
Keita Kanaya, Tomoka Yokota, Nobuya Shiba, Takayuki Muramoto
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 319-325; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.319

Abstract:
牛肉の塩漬には一般的にNaClが用いられる.ここで,塩漬剤としてのNaClへのMgCl2, MgSO4, またはCaSO4の添加が牛肉の理化学特性,ミネラル含量,およびドリップのグルタミン酸濃度に及ぼす影響について検討を行った.筋肉サンプル(100 g)に添加量の異なるMgCl2, MgSO4, またはCaSO4(筋肉重量あたり2%,4%,または6%)を添加したNaCl(筋肉重量あたり6%)を添加して24時間の塩漬を行った.塩漬後,ドリップロス,最大荷重,凝集性,付着性,ガム性荷重,Na含量,Mg含量,およびドリップのグルタミン酸濃度を測定した.NaClにMgSO4を添加した塩漬で最もドリップロスが高かった.しかし,塩漬剤としてのNaClへのMgSO4の添加はテクスチャー特性およびドリップのグルタミン酸濃度に影響を及ぼさなかった.塩漬剤としてのNaClへのMgSO4の添加は塩漬後の牛肉のNa含量を低下させ,Mg含量を増加させた.したがって,塩漬剤としてのNaClへのMgSO4の添加は牛肉の水分活性を低下させ,保存性を高めることが示された.
Yuka Maeda
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 141-148; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.141

Abstract:
暑熱環境が黒毛和種肥育牛の生産性に及ぼす影響の解明とその対策技術について検討した.まず,暑熱環境が黒毛和種肥育牛の飼養成績に及ぼす影響について,肥育ステージごとに解析した.その結果,暑熱の影響は肥育ステージによって異なり,特に肥育後期では暑熱の影響による生産性低下が顕著であることが明らかになった.次に,暑熱環境が肥育後期の黒毛和種肥育牛の飼料消化性に及ぼす影響を検討したところ,飼料消化率が著しく低下することが明らかになった.そこで,肥育後期における暑熱期の飼料消化率低下を抑制する栄養管理による暑熱対策技術を検討した.その結果,飼料の給与量を制限することで,暑熱による飼料消化率や窒素利用性の低下を抑制できることが明らかになった.また,制限給与下で濃厚飼料の一部を木材クラフトパルプに置き換えると,デンプン摂取量が減少し,それにより中性デタージェント繊維の消化率低下が抑制される可能性が示唆された.
Genya Watanabe, Michiyo Motoyama, Ikuyo Nakajima, Keisuke Sasaki
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 169-180; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.169

Abstract:
「こく」は様々な感覚の複合的な知覚により認識されるが,食肉において「こく」の認知に関係する感覚を研究した事例はない.本研究ではWebアンケートを行い,肉料理の「こく」の認識に関係する味覚表現用語を推定した.まず,一般消費者300名および調理従事者100名に43種の肉料理について「こくがあった方が良い」か「こくがなくても良い」かを回答させた.次に,一般消費者500名および調理従事者200名に対し,「こくがあった方が良い」と判定された9種の肉料理それぞれを喫食した際の感覚としてあてはまると思う味覚表現用語を38語からすべて選択させ,各用語が各料理において選択される確率を推定した.これを主成分分析に供した結果,一般消費者および調理従事者の肉料理の「こく」の認識に「甘味」や「味の持続性」および「濃さ」を表現する用語,「醤油味」,「脂肪味」および「うま味」が関係すると推定された.
Junpei Kawakami, Toshimi Baba, Yusaku Gotoh, Taro Oka, Takayoshi Kawahara
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 149-158; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.149

Abstract:
ホルスタイン雌牛の体型測尺形質を使用し発育様相の年次変化を調査した.2004年から2015年に誕生した3,215から3,485頭の雌牛の体重,体高,腰角幅,尻長および胸囲に非線形の発育モデルを個体ごとに適用し発育パラメータと12,24,36,48,60ヵ月の発育値を推定した.次に発育パラメータと各推定発育値の育種価をアニマルモデルで推定した.成熟値の表型的および遺伝的な年次変化量は,体重で各々7.40kg/年と1.99kg/年,体高で0.29cm/年と0.19cm/年,尻長で0.13cm/年と0.06cm/年および胸囲で0.79cm/年と0.27cm/年と有意であったが,腰角幅は遺伝的のみ有意な変化量(0.11cm/年)が推定された.同様の傾向は各月齢の発育値でもみられ,集団の大型化が示唆された.体重と胸囲は表型的および遺伝的に90%成熟月齢が有意に遅く,晩熟化であることが推察された.
Keiichi Suzuki, Tomohiko Komatsu, Wataru Mizunoya
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 181-189; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.181

Abstract:
黒毛和種の肉質等級,性,ロース部位の違いと筋線維型割合,化学成分との関連を検討した.肉質等級が3,4,5の雌と去勢を2頭ずつ合計12頭のリブロース,サーロインを1kgずつ,屠畜後約2週間熟成後に凍結保存したものを用いた.I型筋肉線維とII型筋肉線維の割合,粗脂肪含量,脂肪酸,糖成分,核酸関連物質,遊離アミノ酸,ペプチドを測定した.肉質等級の増加に伴い,粗脂肪含量,脂肪酸組成のオレイン酸割合は増加し,糖成分,イノシン酸と核酸関連物質,多くのアミノ酸含量は有意に減少した.筋線維型,化学成分について有意な性間差は認められず,サーロインはリブロースよりオレイン酸,モノ不飽和脂肪酸割合が有意に多かった.I型筋線維割合は剪断力価と0.50,グルタミンと0.61の有意な相関を示した.粗脂肪含量の増加に伴いグルコース,イノシン酸と核酸関連物質,多くのアミノ酸は有意に減少することが示唆された.
中村 圭吾
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 131-139; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.131

Abstract:
反芻動物において,胚が子宮内膜に着床するためには,胚と子宮内膜の緊密なコミュニケーションが必要である.近年,子宮腔内に存在するエクソソームをはじめとした細胞外分泌小胞(EVs)が,着床過程における胚と子宮内膜間の新たなコミュニケーションツールになり得る知見が蓄積されてきた.EVsは,タンパク質,DNA, RNAs, 脂質などの因子を内包し,子宮腔内にて,細胞増殖,遊走能,接着などの生体内の機能を調節しているとされている.また,EVsは,着床過程において,卵巣から分泌されるプロゲステロン(P4)や胚栄養膜細胞から分泌されるインターフェロン・タウ(IFNT)と協調し,胚接着を制御している.さらに,近年の急速なEVsに関する技術発展に伴う基礎研究や応用研究の成果から,EVsを用いた妊娠鑑定剤,妊娠促進剤などの生産現場でも使用できる技術が確立できれば,早期胚死滅を防ぎ,わが国の受胎率向上に貢献できる.
Shion Yoshida, Haruka Yamano, Feiran Wang, Minoru Kijima, Seiichi Koizumi, Shinichi Kobayashi
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 205-212; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.205

Abstract:
本稿は,(1)海外で日本産牛肉と競合するオーストラリアWAGYUの生産・輸出の現状と展望,(2)オーストラリア(豪州)における日本産牛肉の輸入状況と今後の輸出増加の可能性,の2点を検討するため,豪州和牛協会や豪州の小売・卸売業者,レストランを対象に調査を行った.その結果,オーストラリアWAGYUの輸出量は日本産牛肉輸出の約10倍であり,今後も国際市場で大きな地位を占め続けると予想された.豪州への日本産牛肉輸出は2018年に再開されたが,豪州での調査では,日本産牛肉は小売店やレストランではほとんど扱われていなかった.その理由は,日本産牛肉の高価格と霜降りが「脂っこい」と捉えられているためだった.そのため,日本産牛肉の輸出を短期間に急増させることは難しいと考えた.今後の長期的な戦略として,すき焼きやしゃぶしゃぶなどの日本的な食べ方を広めることで,少しずつ輸出を増やすことが現実的であると考えた.
Chiho Kawashima, Moeri Kondo, Rui Hasegawa, Masaharu Azegami, Juri Oi, Toshiki Shibuya, Yuka Sugimoto, Norio Yamagishi
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 159-168; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.159

Abstract:
乾乳牛へのペレット状グリセリン給与が分娩前後の栄養代謝状態と分娩後の疾病発生や生産性へ及ぼす影響を調査した.分娩予定3週前から分娩までグリセリン80g含有ペレット(Gly,20頭)またはプラセボペレット(Cnt,21頭)を毎日給与した.Cntのルーメンフィルスコアは分娩前に低下したが(P<0.05),Glyで変化せず,分娩前の血中β-ヒドロキシ酪酸(BHBA)濃度はGlyで低かった(P<0.05).分娩前後のボディコンディションスコア(BCS)はGlyで高かった(前;P<0.05,後;P=0.06).ケトーシス発症頭数に差はないが治療牛の血中BHBA濃度はGlyで低い傾向にあった(P=0.07).以上より,分娩予定3週前からのグリセリンペレット給与は給与中の採食量を一定に保ち脂質代謝を改善させ,分娩前後のBCSの適切な維持やケトーシスの症状を緩和させる可能性が示された.
Takeshi Yasue, Nozomi Hirayama, Manami Takeda, Daisuke Kohari, Tsuyoshi Okayama, Masakazu Komatsuzaki, Yuriko Yamakawa, Seiichi Sasaki, Atsushi Toyoda
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 191-197; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.191

Abstract:
ウシの飼育管理作業が農学系大学生の心理・生理的状態に及ぼす影響を調べた.ブラッシング,体重測定,除糞,給餌作業を各5分間実施し,各作業の前後には5分間の安静を含んだ.被験者の心電図と体軸の加速度を連続記録し,試験開始前と終了後には唾液アミラーゼ(sAA)とストレスレスポンススケール(SRS)を測定した.心電図のR-R間隔をスペクトル解析し,それぞれ交感神経と副交感神経活性の指標であるLF/HFとHF nuを比較した.ストレス指標であるsAA濃度は試験開始前と終了後で差はなかったが,SRSは有意(P<0.01)に低下した.心拍変動解析の結果では,LF/HFとHF nuのどちらも作業間には差がなかった一方で,安静間ではブラッシング前より後でLF/HFは低く,HF nuは高くなり(どちらもP <0.05),ウシへのブラッシングが農学系大学生にリラックス効果をもたらすことが示唆された.
Yuichiroh Shiiba, Ken-Ichi Takeda, Kenichi Matsushima
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 199-204; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.199

Abstract:
カプサイシンを含有した忌避剤がシカ食害対策の一つとして使用されているが,その含有濃度はシカ科亜種内で異なる.本研究では,カプサイシンを含むハバネロ抽出物濃度量がニホンジカの摂食行動に及ぼす影響を調査した.飼育成雌ジカ4頭を供試し,ラテン方格法により固形飼料300gに含有濃度が異なるハバネロ抽出物(対照区0%,0.062%,0.62%,6.2%)を8mL噴霧し,シカの摂食行動を調べた.その結果,0.62%区,6.2%区では対照区,0.062%区に比べて摂食量が有意に少なかった(P<0.05).また,それらの差は実験開始3日目までは同じであったが,4日目において,対照区,0.062%区と0.62%区間で有意な差は認められなかった.舌舐め行動は他処理区に比べて,6.2%区が最も多くなった(P<0.05).以上より,本研究で用いたハバネロ抽出物は0.62%以上の濃度でシカの摂食行動を抑制することが明らかとなったが,4日以上提示した場合,その効果に慣れが生じる可能性が示唆された.
Natsumi Yazaki, Yoshinobu Uemoto, Shinichiro Ogawa, Masahiro Satoh
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 35-39; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.35

Abstract:
分母および分子の形質(構成形質)で構成された比の形質を対象に,比の形質を一定に保ちつつ構成形質を改良する制限付き選抜法について,乳脂率を例に検討した.モンテ・カルロ法によるコンピュータシミュレーションにより乳量および乳脂量相当のデータを発生させた.このデータから遺伝的パラメーターを推定し,選抜シミュレーションに用いた.選抜における相対希望改良量は,①乳量および乳脂量を1 : 0.038,②乳量および乳脂率を1 : 0,③乳脂量および乳脂率を1 : 0の3通りとした.乳脂率が最も変化しなかった選抜法は①であった.②および③では,構成形質の遺伝的改良量の比が3.8%よりも相対希望改良量を設定した構成形質(選抜形質)を改良する方向に偏った.以上の結果から,比の形質を一定に保ちつつ構成形質を改良する制限付き選抜では,比の形質ではなくその構成形質を選抜形質に用いるべきであることが示唆された.
Masakazu Irie
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 1-16; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.1

Abstract:
和牛では脂肪交雑の改良が進み,脂肪質が注目されようになり,食味に対する研究も進んできたためとりまとめた.和牛脂肪はオレイン酸など一価不飽和脂肪酸含量が高く,融点が低い.脂肪質評価法ではわが国の食肉市場において非破壊で迅速な携帯型近赤外光ファイバ法の応用が進み,和牛の育種改良や銘柄化に応用されている.官能検査では和牛やWagyu肉は,多汁性,やわらかさ,風味の全ての食味性で優れ,消費者の嗜好性も高い.脂肪融点の低さは,舌触りの良さと多汁性の高さに関係する.遊離したオレイン酸,リノール酸は舌に脂肪味を感じさせる第六の呈味物質として注目され,甘味,うま味も刺激する.多価不飽和脂肪酸は酸化臭の原因になる一方で,遊離一価不飽和脂肪酸と共に,甘い香りのラクトンや脂っぽい香りのアルデヒド等の前駆物質となる.以上から和牛肉で脂肪質は,食感,多汁性,風味のすべての食味性に影響する重要な形質である.
Yuta Yoshida, Fuminori Kawabata, Shotaro Nishimura, Shoji Tabata
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 17-23; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.17

Abstract:
味覚は,動物の摂食行動を制御する重要な化学感覚である.産業動物の味覚受容機構を明らかにすることで,産業動物の味覚嗜好性に基づいた飼料設計が可能になると考えられる.これまでに我々は,重要な産業動物であるニワトリの味覚受容機構に関する研究を実施してきた.本稿では,これまでのニワトリの味覚研究について概説した後,ニワトリのうま味受容に関する最近の知見をまとめた.一連の研究において,ニワトリがうま味成分に対して味覚感受性を有していること,ならびにニワトリの味蕾においてうま味受容体が発現していることが明らかとなってきている.これらの研究から,ニワトリ飼料の設計においてうま味が重要である可能性が味覚受容の観点から示されている.
武志 山崎
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 75-82; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.75

Abstract:
乳用牛における生涯の乳生産および仔牛生産効率と空胎日数および乾乳期間の長さとの関係について,乳量および泌乳持続性育種価水準別にシミュレーションした.4産次終了時における仔牛生産を乳量換算した生涯平均日乳量(累積乳量/除籍時日齢)を生涯生産効率の指標とした.シミュレーションでは,育種価水準ごとの泌乳曲線,泌乳後期乳量に対する妊娠ステージの効果,および乾乳期間短縮による次産次乳量の低下を考慮した.乾乳期間30~90日,空胎日数85~205日の範囲において,乳量および泌乳持続性育種価が平均以上の水準では,乾乳期間がやや短く,空胎日数が長い条件で生涯生産効率が向上する傾向にあった.特に泌乳持続性育種価が高い水準の生涯生産効率は,仔牛販売価格が高い条件においても,85日より長い空胎日数で高くなった.本研究で用いた指標は,泌乳曲線の形状や仔牛販売価格の情勢を考慮した最適な生産サイクルの検討に利用できる.
Kenichi Izumi, Fumiya Shimizu, Shinsuke Abe
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 47-54; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.47

Abstract:
乾物摂取量(DMI)と粗濃比の違いが第一胃(ルーメン)反復圧迫法で測定した育成乳牛のルーメンマットスコア(RMS)とルーメン発酵性状および反芻活動との関連に及ぼす影響について検討した.育成牛12頭を粗飼料主体飽食の100%区,DMIを6割に制限した60%区および濃厚飼料多給で飽食のCONC区に配置した.反芻時間は100%区が最も長かった.RMSは給与直前(0h)と7時間後(7h)において100%区が60%区より高く(P<0.05),CONC区は両区の中間であった.給与3時間後と7hにおいてCONC区は100%区よりもルーメン内のpHが低く(P<0.01),総VFA, プロピオン酸および酪酸濃度が高かった.RMS 0hと反芻時間に正の関係が認められた(R2=0.672;P=0.002).以上から,本法によって育成牛のルーメン充満度を推測可能であると考えられた.
Tomohiko Komatsu, Noriaki Shoji, Hideo Endo, Keiichi Suzuki
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 41-45; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.41

Abstract:
黒毛和種肥育牛1,095頭の枝肉の第6-7肋骨間切開面における筋間脂肪の脂肪酸組成について,携帯型の近赤外分光分析装置による方法(NIR法)とガスクロマトグラフ法(GC法)による測定を行った.遺伝的パラメータを推定したところ,NIR法とGC法での表型相関は高く(0.76~0.81),遺伝相関も高かった(0.92~0.97).遺伝率推定値は,GC法(0.64~0.71)の方が,NIR法(0.39~0.45)より高く,育種改良の選抜形質としては,GC測定値の方が正確度は高かった.調査牛の父にあたる種雄牛121頭の脂肪酸の推定育種価はGC法とNIR法で高い正の相関を示した.
Yuta Yanagi, Miyuki Yokoo, Yukinari Takeuchi, Tomonori Kamiyama, Shou Ishikawa, Kentarou Ikuta
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 55-61; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.55

Abstract:
乾燥豆腐粕の給与が生乳の異常風味である自発性酸化臭(SOF)発生に及ぼす影響について検討を行った.泌乳中後期の搾乳牛10頭を供試し,乾燥豆腐粕を乾物中15%給与する試験区と給与しない対照区を設けた飼養試験をクロスオーバー法で実施した.官能評価でのSOFの強さは試験区で有意に高く(P<0.05),脂質酸化指標である乳中ヘキサナール濃度は試験区で高い傾向(P<0.10)が認められた.SOF発生に関与するとされる乳中のビタミンEや銅濃度に処理区間の差は認められず,乳中の多価不飽和脂肪酸が試験区で有意に高かった(P<0.05).以上のことから乾燥豆腐粕の給与によりSOFが生じることが示唆され,乾燥豆腐粕給与に伴う乳中脂肪酸中の多価不飽和脂肪酸の増加がSOFの発生に関与したと考えられた.
Tomoka Yokota, Chiho Fukuda, Keita Kanaya, Ryohei Watanabe, Takayuki Muramoto
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 71-74; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.71

Abstract:
接触型電極でインピーダンスを測定することで,塩漬中の日本短角種去勢牛(n=5)の上腕三頭筋のテクスチャー特性,ドリップロス,および塩漬の程度を非破壊的に推定する方法を検討した.牛肉に重量当たり6%(w/w)のNaClを添加し,10から60分間の塩漬を行った後,テクスチャー特性,ドリップロスおよびインピーダンスを測定した.その結果,テクスチャー特性およびドリップロスには塩漬時間による有意な差は認められなかった.インピーダンスは,1Hzでは塩漬前が塩漬10分に比較して有意に高かったが,それ以降では塩漬時間による有意な差は認められなかった.一方,120Hzおよび100kHzでは,塩漬前が塩漬10分に比較して有意に高く,塩漬10分から30分の間には有意な差が認められなかった.さらに,塩漬10分が塩漬40分から60分に比較して有意に高かったが,塩漬40分から60分の間には塩漬時間による有意な差は認められなかった.本研究の結果から,接触型電極を用いたインピーダンス測定により,Na+の浸透の程度から推察される塩漬の程度を非破壊的に推定できる可能性が示された.
村中 木
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 63-70; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.63

Abstract:
マウスの一腹産子数を調整して,哺乳量増加区(一腹4匹)と対照区(一腹10匹)を4腹ずつ設け,3週齢で離乳の後,8週齢まで成長試験を実施した.離乳時と8週齢時に腹腔内LPS投与後にと畜し,臓器重量,血中の免疫グロブリンとTNF-α濃度,胸腺のサイトカインmRNAレベルを調べた.哺乳量増加区では離乳時,8週齢時ともに体重が大きく,離乳後の飼料摂取量が多く,飼料効率は低かった.哺乳量増加区では離乳時の心臓重量の低下と胸腺の増大傾向が,8週齢時には肺の重量低下と腎臓と副腎の重量増加傾向がみられた.哺乳量増加区は離乳時の血中IgG濃度が低く,TNF-α濃度は高い傾向を示した.胸腺のmRNAレベルは,離乳時のIFN-γ,8週齢時のTNF-αとIL-10が哺乳量増加区で増加傾向を示した.以上より,哺乳量増加による哺乳期の発育促進は離乳後の飼料摂取量増加と飼料効率の低下を招き,サイトカイン産生能増強の可能性が示された.
Yusuke Komiya
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 92, pp 25-33; https://doi.org/10.2508/chikusan.92.25

Abstract:
骨格筋を構成する筋線維は異なる性質を示す遅筋タイプと速筋タイプに大別される.遅筋タイプはミトコンドリアに富み,酸化能力に長け,抗疲労性を示す.食肉においては遅筋タイプの割合が高まると,テクスチャー改善,機能性成分の増加,呈味性向上などにつながる.これまで後天的な遅筋タイプの増加は運動トレーニングによってのみ生じると考えられていた.我々はオレイン酸を骨格筋細胞に作用させると遅筋タイプマーカー,酸化系代謝関連因子の発現量およびミトコンドリア量が有意に増加することを明らかにした.さらにオレイン酸を含む飼料をマウスに4週間給餌すると,遅筋タイプマーカーの発現量が増加し,走行持久力が向上した.この他にも魚油,ヤマブシタケおよびリンゴポリフェノールによって,骨格筋特性が変化することを明らかにした.これらの成果は,栄養学的制御によって骨格筋特性を改変できることを示している.
Yumi Higashiyama, Kentarou Ikeda, Tokushi Komatsu, Michiru Fukasawa, Kazuhiro Matoba
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 411-416; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.411

Abstract:
寒冷地の周年親子放牧における子牛の発育と親牛の繁殖成績を明らかにするため,北東北地域で黒毛和種の周年親子放牧を実践しているK農場において調査を行った.計24頭の子牛について2年間にわたり毎月体重測定を行った.親牛の繁殖成績については繁殖記録を閲覧し解析した.放牧地はケンタッキーブルーグラス優占草地であった.子牛への補助飼料として夏季はグラスサイレージと濃厚飼料,冬季はさらにコーンサイレージを給与していた.9ヵ月齢までの子牛の平均日増体量は,雄で1.07kg/日,雌で0.94kg/日であった.冬期(12月~2月)生まれの子牛に限ると,雄で1.13kg/日,雌で0.93kg/日であり,いずれも冬期以外の出生子牛と有意な差はなかった.親牛の分娩間隔の平均値,中央値はそれぞれ410日,384日であった.北東北地域の周年親子放牧における子牛の発育成績は良好で,親牛の分娩間隔についても全国平均より劣ることはなかった.
Ryohei Watanabe, Tomoki Ishimatsu, Takehiro Kamata, Miharu Yonai, Takayuki Muramoto
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 403-409; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.403

Abstract:
黒毛和種去勢牛の枝肉(n=11)の第6から第7肋骨間の切開面に認められる8筋肉および皮下脂肪について,接触型電極を装着したLCRメータを用いて,1Hz,120Hz,および100kHzにおけるインピーダンスを測定し,またガスクロマトグラフィー法により脂肪酸組成を分析した.胸最長筋では,すべての周波数でオレイン酸割合とインピーダンスとの間に有意な相関が得られた.この結果は,すべての周波数でインピーダンスを測定することにより,胸最長筋のオレイン酸割合を推定できることを示している.皮下脂肪のオレイン酸割合と1Hzにおけるインピーダンスとの間には有意な相関が得られた.胸最長筋のオレイン酸割合と皮下脂肪のオレイン酸割合との間にも有意な相関が得られた.これらの結果から,1Hzで皮下脂肪のインピーダンスを測定することにより,胸最長筋のオレイン酸割合を間接的に推定できることが示された.
Gou Yoshioka, Kasumi Suzuki, Keisuke Hayashi, Koushi Mukoijima
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 381-388; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.381

Abstract:
精米もしくは精米と米ぬかの併用給与が豚肉質に及ぼす影響を検討した.供試豚は,平均体重70kgのデュロック種雌豚32頭を4つの区に割り振った.区分は,トウモロコシを70%配合した対照区,対照区のトウモロコシを精米に代替した精米区,精米を60%と米ぬかを10%配合した精米+米ぬか10%区および精米50%と米ぬかを20%配合した精米+米ぬか20%区とした.精米区の背脂肪内層L*値とオレイン酸割合は,対照区よりも高く(P<0.05),米ぬかの配合割合が増すと対照区との差が無くなった.精米区の背脂肪内層リノール酸とα-リノレン酸割合は,対照区に比べて低く(P<0.05),米ぬかの配合割合が増すと対照区と同程度まで増加した.以上より,精米給与は,背脂肪内層のL*値とオレイン酸割合を増加させ,多価不飽和脂肪酸酸割合を低下させた.米ぬかの配合割合の増加は,この効果を減少させることが明らかになった.
鴻誠 王
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 389-394; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.389

Abstract:
豚肉中の2つの亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)形成機構を解明するために,異なる筋肉を用いたZnPP形成モデルを用いて,ZnPPの基質である各種ポルフィリンならびに金属イオンの推移から,報告されている形成経路との関係性を調べた.両モデルともに,ZnPPの結合亜鉛量は総亜鉛に対して極めて低く,低濃度の亜鉛キレート剤ではZnPP形成の影響がなかったため,亜鉛源は豚肉中に十分量あることが示された.最長筋を用いたモデルにおける総ポルフィリン量の増加と鉄キレート剤によるZnPP形成の一部抑制から,ヘム生合成経路からプロトポルフィリンIXが作られ,フェロケラターゼ(FECH)による触媒反応と非酵素的に亜鉛が挿入されてZnPPが形成することが示唆された.棘下筋を用いたモデルでは非ヘム鉄の増加と鉄キレート剤の抑制効果から,FECHによるヘム脱鉄経路を介してZnPPを形成することが示唆された.
博之 広岡
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 371-374; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.371

Abstract:
ラテン方格法は,多頭数の家畜を利用できない研究機関でよく用いられる実験計画法である.本研究では,単一のラテン方格法と複数のラテン方格法(3ケース)の計4つのケースを想定してラテン方格法を用いた場合の分析方法と結果の解釈を解説することを目的とした.また,各ケースにおけるSASとRパッケージによるプログラムを補足資料として例示した.
Maho Yamanaka, Keigo Asano, Hideaki Hayashi, Shigeyuki Kawai, Takuji Hirayama
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 375-379; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.375

Abstract:
本研究では,ウシに市販海藻飼料を給与した場合の糞中IgA, VFA濃度および糞便性状について調査し,腸管免疫賦活活性に与える影響について検討した.試験には黒毛和種の経産牛4頭を用い,海藻飼料を給与する区(海藻区)および給与しない区(対照区)に2頭ずつ分け,給与I期(10日間),休止期(13日間),給与II期(10日間)の3期からなる2×2のクロスオーバー法で実施した.糞中IgA濃度の変化量は,海藻区が対照区に比べ有意に増加した(P<0.05).一方,糞pH値および糞中VFA濃度は両区ともに正常範囲内で推移し,海藻飼料の給与の有無で差は認められなかった.また,糞中VFA濃度と糞中IgA濃度との間にも相関は認められなかった.以上から,ウシへの市販海藻飼料の添加給与は,腸内微生物叢には影響しないものの,腸管免疫を活性化させることが示唆された.
邊彰 渡
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 395-401; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.395

Abstract:
国内で流通しているシカおよびイノシシ肉の品質向上のために,処理施設より胸・腰最長筋を購入して,熟成終了時のpHを測定し変動要因について調べた.調査票から動物種,性別,体重,捕獲方法(箱わな,囲いわな,足わな)を要因とし分散分析により解析した.また,タンパク質の変性程度を測定しPale, Soft, and Exudative (PSE)の発生についても調査した.その結果,調査個体の35%はDark, Firm, and Dry (DFD)が疑われるpH>6.0であり,足わなによる捕獲がpHを有意に高くし,オスがメスより高くなる傾向が認められた.一方,PSEと判定されたのは箱わなおよび囲いわなで捕獲された頭数の52%,足わな捕獲の5.8%であった.以上の結果より,品質の高い野生獣肉を提供するには早期発見によるDFDの回避と,興奮を抑えた止め刺し技術によるPSE回避が重要であることが示された.
Airi Kurakami, Yuka Nakahori, Naoki Takano, Fumiaki Ohe, Koichi Hagiya
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 179-183; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.179

Abstract:
ばんえい競走馬の2歳年度獲得賞金記録に対し,未変換および分散補正したデータによる遺伝率推定値を比較し,分散補正の影響を調査した. データは,2005年から2014年の間に生まれ,競走馬登録された重種馬3,125頭のうち,2歳年度のレースに出走した2,302個体の性別,誕生年月,能力検査実施日,獲得賞金,および27,215個体を含む血縁個体である.獲得賞金の分散補正について,2歳年度における獲得賞金(未変換),対数変換および階層別獲得賞金クラス(3,5または7区分)のデータセットを作成した.遺伝分析には,性別,誕生年,月齢を母数効果として含むアニマルモデルを使用した.月齢は,能力検定合格回次の検定実施月と誕生月の記録から推定した.獲得賞金の遺伝率推定値は,未変換(0.16)と比較し,分散補正後の対数変換(0.29)および獲得賞金クラス(0.32から0.36)で高い遺伝率が推定された.
Tatsuo Noguchi, Takuro Aizawa, Hisataka Iwata
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 227-232; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.227

Abstract:
血液中には細胞外DNAが含まれる.ミトコンドリアに由来する細胞外DNAはその量が多く測定が容易である.本研究では血液中のミトコンドリア由来細胞外DNAがウシの生理状態によって変動するのかどうかを調べるため,ホルスタイン種の栄養状態が大きく変化する時期である分娩前後の血漿の成分値(遊離脂肪酸(NEFA),トリグリセリド(TG),乳酸脱水素酵素(LDH),およびグルコース)と細胞外DNA量との関係性について検討した.また,黒毛和種およびホルスタイン種を用いて人工授精後の妊娠の可否と授精時の細胞外DNA量との関係を検討した.血漿中のNEFA,TG ,LDH,グルコースおよび細胞外DNA量は,分娩前後で大きく変動した.細胞外DNA量とそれぞれの血漿成分の平均値間で相関を調べると,LDHと正の相関が,TGと負の相関があった.一方で合計14頭の人工授精時細胞外DNA量の結果では,受胎牛と不受胎牛間に有意な関係が認められなかった.
Kotaro Kawabe, Emi Oozawa, Katsuyuki Oozawa, Tsuyoshi Ozawa, Shoji Ookutsu, Takeshi Shimogiri, Shin Okamoto, Tsutomu Hashiguchi
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 185-191; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.185

Abstract:
日本在来馬の一種である野間馬の毛色遺伝子の多様性を明らかにすることを目的に,拡張,アグチおよび芦毛の各遺伝子の頻度をMC1R,ASIPおよびSTX17遺伝子の多型解析によって分析した.また,個体の毛色をL*a*b*表色系(CIE1976)による色彩色差計測によって数値化し,毛色間の比較を行うとともに主成分分析によってその傾向を評価した.その結果,野間馬集団ではいずれの遺伝子座においても潜性遺伝子の頻度が高く,毛色について配慮した交配の影響があることが推察された.色彩色差計測の結果では,各毛色間において明瞭な差異は認められなかった.得られた値について主成分分析を行った結果,栗毛,鹿毛および青毛は連続した分布を示し,毛色について明確に区別することはできなかった.本研究の結果から,野間馬集団の毛色においては,既知の拡張,アグチならびに芦毛以外の新たな遺伝子による関与の可能性が示唆された.
Tomomi Ban-Tokuda, Chisato Yamamoto, Seiji Kimoto, Hiroki Matsui
Nihon Chikusan Gakkaiho, Volume 91, pp 217-225; https://doi.org/10.2508/chikusan.91.217

Abstract:
ブタの飼料への発酵生成物(ビタコーゲン:(株)セイワ)の添加が,ブタの成長・肥育および腸内細菌叢へ及ぼす影響について調査した.供試動物として離乳後の雌ブタ10頭を用い,試験区として基礎飼料のみの対照区および基礎飼料にビタコーゲンを添加したVC区の2区を設け,16週間の育成・肥育試験を行った.体重,日増体量および飼料効率については両区に差が見られなった.飼料の成分消化率は育成期(8週)において,DMおよびNDF消化率は対照区の方が高くなったが,EEはVC区の方が有意に高くなり,肥育期(14週)において,DM,OM,NDFおよびEE消化率はVC区が有意に高くなった.直腸糞の菌叢の多様性について,多様性指数は12週目において対照区と比べてVC区で有意に高い値を示した.以上のことから,VC添加は腸内細菌叢を変化させ,ブタの肥育期の飼料成分消化率を向上させることが示唆された.
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