Abstract
暑熱環境が黒毛和種肥育牛の生産性に及ぼす影響の解明とその対策技術について検討した.まず,暑熱環境が黒毛和種肥育牛の飼養成績に及ぼす影響について,肥育ステージごとに解析した.その結果,暑熱の影響は肥育ステージによって異なり,特に肥育後期では暑熱の影響による生産性低下が顕著であることが明らかになった.次に,暑熱環境が肥育後期の黒毛和種肥育牛の飼料消化性に及ぼす影響を検討したところ,飼料消化率が著しく低下することが明らかになった.そこで,肥育後期における暑熱期の飼料消化率低下を抑制する栄養管理による暑熱対策技術を検討した.その結果,飼料の給与量を制限することで,暑熱による飼料消化率や窒素利用性の低下を抑制できることが明らかになった.また,制限給与下で濃厚飼料の一部を木材クラフトパルプに置き換えると,デンプン摂取量が減少し,それにより中性デタージェント繊維の消化率低下が抑制される可能性が示唆された.

This publication has 29 references indexed in Scilit: