Abstract
日本学術会議第24期(2017年10月~2020年9月)は、首都以外の地域へ機能移転をするといったこれまでの議論を解消し、毎年順番に7つの地区に振り当てて地方学術会議を開催することにした。24期中に京都、北海道、富山、山口と4か所で実に個性あふれる地方学術会議を開催できたのは、今後の地方学術会議を発展させるうえで重要な試金石となったのではないかと考えている。予算の制約もあって、地元大学に会場や開催準備などの助力を仰ぐことが必要となるが、会議には日本学術会議の幹事会を組み入れ、地元の行政や民間団体との対話を交えることが望ましい。コロナ後の日本は、テレワークを使った単業から兼業といった労働のあり方や、単線型から複線型へといった人生の見取り図が大きく変化し、大都市と地方の価値が逆転して地方の時代を迎える可能性がある。大学などの学術の拠点は未来へ向かう重要な指針を得られる場所として、これまで以上に大きな役割を果たすことが期待される。