Abstract
農薬は農作物等の生産性向上と過重労働の低減などを目的に開発・使用される.菌類により発症する植物病害防除と併せ,マイコトキシンの低減効果が高い農薬の開発が進むなど,農薬はカビ毒汚染を抑制する有用な資材のひとつとなっている. 食品に残留した農薬は,食品衛生法に基づき残留基準が設けられて厳しく規制される.法に則り監視・指導され,違反品の廃棄,違反者への懲役または罰金が課せられる.本残留基準は昭和43年に設定されて以来順次拡大され,平成18年にはポジティブリスト制度が導入され,すべての食品に対してすべての農薬が規制対象となった.その後も,新規開発や適用拡大,インポートトレランス,安全性評価見直し等により,逐次,基準値の追加,改正,削除が進められている.