一腹産子数調整による哺乳量の増加がマウスの成長および免疫機能に及ぼす影響

Abstract
マウスの一腹産子数を調整して,哺乳量増加区(一腹4匹)と対照区(一腹10匹)を4腹ずつ設け,3週齢で離乳の後,8週齢まで成長試験を実施した.離乳時と8週齢時に腹腔内LPS投与後にと畜し,臓器重量,血中の免疫グロブリンとTNF-α濃度,胸腺のサイトカインmRNAレベルを調べた.哺乳量増加区では離乳時,8週齢時ともに体重が大きく,離乳後の飼料摂取量が多く,飼料効率は低かった.哺乳量増加区では離乳時の心臓重量の低下と胸腺の増大傾向が,8週齢時には肺の重量低下と腎臓と副腎の重量増加傾向がみられた.哺乳量増加区は離乳時の血中IgG濃度が低く,TNF-α濃度は高い傾向を示した.胸腺のmRNAレベルは,離乳時のIFN-γ,8週齢時のTNF-αとIL-10が哺乳量増加区で増加傾向を示した.以上より,哺乳量増加による哺乳期の発育促進は離乳後の飼料摂取量増加と飼料効率の低下を招き,サイトカイン産生能増強の可能性が示された.