鉄,亜鉛およびポルフィリンの推移からみた食肉中の亜鉛プロトポルフィリンIX形成機構

Abstract
豚肉中の2つの亜鉛プロトポルフィリンIX(ZnPP)形成機構を解明するために,異なる筋肉を用いたZnPP形成モデルを用いて,ZnPPの基質である各種ポルフィリンならびに金属イオンの推移から,報告されている形成経路との関係性を調べた.両モデルともに,ZnPPの結合亜鉛量は総亜鉛に対して極めて低く,低濃度の亜鉛キレート剤ではZnPP形成の影響がなかったため,亜鉛源は豚肉中に十分量あることが示された.最長筋を用いたモデルにおける総ポルフィリン量の増加と鉄キレート剤によるZnPP形成の一部抑制から,ヘム生合成経路からプロトポルフィリンIXが作られ,フェロケラターゼ(FECH)による触媒反応と非酵素的に亜鉛が挿入されてZnPPが形成することが示唆された.棘下筋を用いたモデルでは非ヘム鉄の増加と鉄キレート剤の抑制効果から,FECHによるヘム脱鉄経路を介してZnPPを形成することが示唆された.