Abstract
心臓血管外科手術を支える体外循環は,人工的な循環であるがゆえに,かならず凝血との戦いとなる.体外循環回路のどの部分が凝血しやすいのか,また凝血によってどのようなトラブルが起こるのかを知っておく必要がある.また,体外循環前のヘパリン投与とサクションの開始のタイミング・プロタミンの管理と投与法・プロタミンによる中和とサクション停止のタイミングなどは,施設によってその作法が異なるが,日常的な行為にも大きなリスクが潜んでいる.また,思わぬ大出血での体外循環の確立までの対応も悩ましい.今回,このような諸問題を,体外循環を担う技士の立場から考えてみたい.