Evaluation of a Moral Education Program Teaching Role-Taking Ability to Youth at a Juvenile Training School:

Abstract
本研究は少年院において役割取得能力の促進を目的とした道徳教育プログラムを実施し,効果検証を行うことを第一の目的とした。全プログラム(16回,計4ヶ月間)に参加可能で介入前,中期,介入終了後の計3回評価が可能だった9名のうち,5名に役割取得能力の1段階上の発達段階の促進(段階1から段階2へ)と院内適応行動評価尺度(日課への参加の積極性,規則遵守行動,向社会的行動)の得点の上昇が示された。役割取得能力の発達段階の促進が認められなかった4名は,いずれの下位尺度の得点も変化しないことが明らかとなった。第二の目的として,効果が示されなかった少年について,効果への個人内要因(年齢,IQ,学歴,入院理由と事件の重大度,入院までの非行回数,過去の経歴)やプログラム満足度との関連について検討を行った。検討の結果,効果が示された少年よりも示されなかった少年の方が,過去の非行回数が多いことが示された。その他,法務教官に聞き取り調査を行い,プログラム効果の有無にはグループ内の人間関係や少年の性格特性が影響することが示唆された。