Abstract
小論は、学術とイノベーションとの相関について検討するものである。科学技術基本法法制化から25年、その後の科学技術基本計画に見られる学術研究、イノベーションの取り扱われ方、また文部科学省の学術分科会における、学術と科学技術イノベーションの相関の理解に関する議論などの整理を行う。そして、学術とイノベーションの相関についてシュムペーターらの見解に立ち戻って技術的要因と経済的要因との相関について、経営学的議論を含め考察する。その上で、学術研究体制における産学連携の組織機構、その具体的形態としての技術科学研究所について検討し、日本の学術研究体制はなお途上段階にあることを指摘する。また、その途上性は総就業者数に対する研究者数の割合、博士学位取得者数の人口当たりの水準と相関していることをマクロ分析から指摘する。

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