Comparison of selection responses based on feed conversion ratio and its component traits in pigs

Abstract
選抜における比の形質の影響を検討するため,比の形質を選抜形質に含めた場合と含めない場合における経済的な利益を比較した.ブタにおける飼料要求率を構成する増体重および飼料摂取量についてモンテ・カルロ法によるコンピュータシミュレーションにより,第0世代から第3世代までの6,550頭分の継代記録を発生させ,増体重,飼料摂取量および飼料要求率における遺伝的パラメーターを推定した.次に,基礎集団の記録(雌雄各10,000頭)を発生させ,飼料要求率の直接選抜,増体重と飼料摂取量の相対希望改良量による指数選抜および増体重と飼料摂取量の総合育種価を最大にする選抜を行った.飼料要求率の直接選抜による利益は,他の選抜方法よりも小さくなる傾向にあった.一方,選抜形質に飼料要求率が含まれる場合,改良量の期待値と実現値との間に差のみられる場合が多く,結果として利益の期待値と実現値との間に大きな差がみられた.したがって,比の形質である飼料要求率の直接選抜は利益を最大化する改良には適しておらず,増体重と飼料摂取量に改良目標がある場合には構成形質による選抜が望ましいことが示唆された.