A Case of Redo-Aortic Valve Replacement for a Lillehei-Kaster Valve Implanted 42 Years Ago

Abstract
症例は71歳男性.42年前の29歳時に大動脈弁閉鎖不全症,僧帽弁狭窄症に対してLillehei-Kaster弁(16A)を用いた大動脈弁置換術と僧帽弁直視下交連切開術を当科で施行した.術後より抗凝固療法の導入なく当院外来で経過観察されていたが,術後20年目に担当医の変更に伴い抗凝固療法が導入された.経過観察中に平均圧較差はおおむね40~60 mmHgで推移し,特にイベントなく経過していたが,2020年1月に肺炎を契機に生じた頻脈により起座呼吸や下腿浮腫などの心不全症状を認めたため入院となった.経胸壁心エコー検査で大動脈弁の圧較差の増大を認めたため,心不全加療後に大動脈弁再置換術を施行した.Lillehei-Kaster弁には劣化や構造変化はなく,弁の可動制限や血栓形成も認めなかったが,左室側にpannusの増生を認め,これが圧較差増大の原因と考えられた.Lillehei-Kaster弁の長期間経過後の再手術の報告は他になく,長期経過観察中の圧較差の推移を検討した報告もないため報告する.