Surgery for Mitral Lesion Associated with Severe Mitral Annular Calcification (MAC)

Abstract
僧帽弁疾患の中で僧帽弁の弁輪部の変性による石灰化病変(Mitral annular calcification)をきたすのは欧米では約10%前後と報告されるも年齢や合併する心臓疾患によりその頻度は異なる.手術に際し石灰化弁輪の処置が問題になり石灰化を完全に除去し弁輪に糸掛けをする手技(MAC resection technique)では左室破裂や石灰化除去に要する心停止時間の延長のための術後の心不全が問題になる.このため石灰化を除去しないで石灰化弁輪を温存したまま僧帽弁手術を行う手技(MAC respect technique)も報告されるようになった.MACの解剖学的所見では石灰化の90%以上は後尖弁輪に発生し,全周性あるいは前尖に発生することが少ないことが示されることから後尖弁輪のMACを切除しない方法は多くの場合可能と考えられ,著者らの経験とともに種々の手術法と成績について述べ,これらの疾患に遭遇した場合の一助となることを期待する.