Abstract
従来,悪性胸水の診断に際しては,胸腔穿刺による胸水検査と盲目的胸膜生検が行われてきたが,その診断率は決して満足できるレベルではなかった.特に悪性胸膜中皮腫は前述の方法での陽性率は低く,誤診を招くおそれもあるため慎重な判断が必要である.我が国では1990年以降内科的胸腔鏡が導入され,胸膜病変を直接観察し生検することが可能となり診断率が飛躍的に向上した.肺癌診療においては病理診断のみならずバイオマーカー検索にも有用である.しかし胸膜病変はその原因にかかわらず肥厚,線維化し硬くなることが多いため生検技術の向上が求められる.本稿では内科的胸腔鏡の進歩と胸膜生検法の工夫について概説する.